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ガンバロウ福大!行政の「結」

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震に端を発する東日本大震災をきっかけに、福島大学行政政策学類の教員有志でブログを開始しました。福大行政に関わる情報共有・情報発信の場として、このブログが、読者のみなさんとわたしたちの、また、みなさん同士の結節点になれば嬉しいなと考えています。一緒に手を携えて、この難局を乗り切っていきましょう。     (2012年3月26日記)

ライフラインとしての保育園

 昼の震災対策室のDaikokuです。こんにちわん(by AC…しつこくてムカつくとの意見もあるようですが…)。
 教員リレー日記の最新版です。
 もちろん検閲済みです(無断でいくつか修正しました…笑)。
 リレー日記はまだまだ続きます。

*****

こんにちは、中川といいます。現代政治論という学群共通科目(なんか魚臭い名前ですな)と地域と行政専攻の入門科目などなどを担当しています。松野さんの登場を待っていた人、すみません。しばらくお待ちください。つなぎとして、Dさんから突如「書いてください」と指名されたので、急遽しゃしゃり出てまいりました。お許しください。

なぜイニシャルにするのか。このブログを読んでいる人は分からないかもしれませんが、実はDさんは、影の支援室長と怖れられていて、このブログの記事も検閲されているというのがもっぱらのうわさなので、あえてDさんとした次第です。ま、バレバレですけどね。
聞こえてくるところによると、わたしの前の坂本さんの記事は短かすぎるということで呼び出しをくらったらしい…、あれ? 誰だろう、いまごろ玄関をノックするのは……。

字数稼ぎはこれくらいにしないと怒られそうなので本題ですが、なんか書けといわれても、わたしが今書けるネタは保育園ネタしかございませんです。またかよと思われた方、すんません。やっぱりと思われた方、悪しからず。
上の子から数えて9年、下の子もいよいよ年長さんとなり、ほんと長くお世話になっています。そのせめてものお礼というわけではないですが、保護者会(小学校で言えばPTAのようなもの)の会長という形でとりあえず微力なサポートをしています。その保護者会の年に1回の総会が明日22日に開かれる予定です。そのためこの半月あまりはその準備に時間を費やしてきました。ところが一昨日の19日、文部科学省から突如発表された、福島県における学校活動の基準値なるもののために、全部一から練り直さなければならなくなりました。

文科省は、年間20ミリシーベルト、1時間あたり3.8マイクロ・シーベルトを超える見通しの学校・園に対して、屋外活動の制限を含む一定の行動指針を示しました。基準値を超えた学校・園の現場は当然大混乱です。屋外活動などはすでに自粛していたのでそのこと自体のショックよりも、「あなたのところは基準値を超えていますよ。」と名指しされ、公表されたショックの方が大きかったんではないでしょうか。しかもその基準値は飯舘村を計画避難にする数値と同じくらい高かったわけですから。

保育園にもこの数値が適用されます。そもそも行政組織的にいえば保育園は学校ではなく福祉施設であり、所轄官庁も文部科学省ではなく厚生労働省なので、文科省が基準を決めても厚労省としては別の対応もありえたわけです。しかし今回は、即、「右にならえ」しました。それで保育所にも同じ基準値が適用されることになりました。

子どもが通っている保育園は基準値を超えたわけではなく、自主的に判断して屋外活動にも一定の制限を行なってきたのですが、公表された線量値はかなり高く、放射線による汚染が広がっていることに保護者の方、特に赤ちゃんのいる家庭では、不安がさらに大きくなっていることは想像に難くありません。
これから暑い季節を迎えていく中で、窓も開けず、エアコンもつけず、外でも遊べないとしたら……。子どもたちにどれだけ苦痛を強いることになるのかを考えると心が痛くなります。

文科省は国際放射線防護委員会なる組織が出した勧告を参考に年間20ミリシーベルトという数値を決めたとしていますが、しかしその勧告を読むと(英語で70ページあったので拾い読みですが)、国や自治体(authorities)がしかるべき措置を講じた後なら1~20ミリシーベルトを許容範囲とすると書いてあります。20ミリというのは許容範囲の最大値になるわけです。さらにその「しかるべき措置」とは何かということになると、「建物の洗浄、土壌の除染、家畜の移動、環境や生産物のモニタリング、汚染されてない食料の供給、廃棄物の管理、情報提供、案内・指示および装備の供給、健康調査、特定の集団への情報提供」などなど、かなり具体的にたくさんの項目が挙げられています。しかるに文科省がやったのは何かというと、学校の線量調査と学校現場への指針の提示だけです。その二つも取り掛かりがものすごく遅いです。

3月11日以降今日に至るまで、保育園は一日も休まず園を開けてきました。それを聞いたとき驚きました。停電して水がなくともなんとかしのいでやったようです。職員の方々の中には自宅が被災された方もいらっしゃるなか、さぞやご苦労や大変さがあったと思います。

なぜ休まなかったのか。保育園には実にさまざまな職業の親さんにもつ子どもがいます。その中には、病院で医療に従事している方、水道やガスなどの工事をしている方、自治体で緊急時の仕事についている方などがいらっしゃいます。そのような人たちにとって、子どもを安心して預けられる場所があるということは、仕事に専念するうえで絶対的な条件なのです。保育園が開かれていなければ、災害時に必要不可欠な仕事にも遅れや滞りがでてくることになるでしょう。そういった意味でいえば、保育園もライフラインの一部を形成しているといえるかもしれません。

ただ預かるだけではなく、子どもがそこにいると安心できるというのが大事です。保育園では、園と保護者、保護者同士、子どもと保育士、そして子ども同士の間での信頼関係をまず第一に考え、そのために何が必要なのかを常に大事にしています。安心は繰り返しの中で時間をかけて形成されていくものだと思います。放射線量を測ったり、基準値にしたがっていれば学校が安心な場所になるというのは、見当違いもはなはだしいといわざるをえません。

大学もまた大勢の若者が4年間という長い時間を過ごす場所です。安心して学習・生活ができることは最低条件でなければなりません。今原発によってそれが脅かされているわけですが、大学を再開するのであれば、安心できる場所であるというメッセージや情報を大学が発信していくことはなによりもまず考えなければならないことです。不安をもっている人がなぜそのような気持ちを抱いているのかに心を配らず、ただ大丈夫、大丈夫と言っていても不安は消えないでしょう。発信するだけでなく受け止めることも必要だと思います。不安を否定せず辛抱強く耳を傾けていく中で、やっと少しずつ信頼や安心が生まれていくものではないでしょうか。

コメント

「放射線量を測ったり、基準値にしたがっていれば学校が安心な場所になるというのは、見当違いもはなはだしい」
「発信するだけでなく受け止めることも必要」
「不安を否定せず辛抱強く耳を傾けていく中で、やっと少しずつ信頼や安心が生まれていくものではないか」
…中川さんのどの指摘も、今の震災対策室メンバーにとって心に響く言葉です。
とくに大学の公式HPを見るときには…
私たちの学類震災対策室は、逆風にさらされながらも、いつも、いつも、そうありたいと思って頑張っています。
そのためには、学生、卒業生、新入生、保護者の方など、みなさんの応援を必要としています。
声をあげてください。

  • 2011/04/22(金) 23:49:14 |
  • URL |
  • 震災対策室・大黒 #-
  • [ 編集 ]

いつもブログを拝見しています。
声を上げてほしいとありますが、先生方は大学再開についてどうお考えなのかお聞きかせいただきたいです。
現状で私は福島県外から福島に戻ることは不安です。
しかし、先生方が楽しいブログを更新してくださる度に福島に戻りたい気持ちが高まり、葛藤しています。
ぜひ先生方の大学再開に対するお考えをできればお一人ずつお聞かせください。
長文失礼しました。

  • 2011/04/23(土) 15:21:47 |
  • URL |
  • 葵 #-
  • [ 編集 ]

保護者です。県外のため、福島の情報が少しでも欲しく、震災後から先生方のブログも拝見させて頂いていました。学校が本当に安全な場所なのか、不安を拭えないまま、授業開始が近づいています。長崎大学教授の楽天的に思える(すみません)説明や、中部大学武田邦彦先生が発信されていること、放射線管理区域の約6倍に相当するという文部科学省が定めた3.8マイクロシーベルトという数字(フクロウの会HP参照)・・今まで接した事のない内容の、様々な情報の中でどうすべきなのか、悶々としています。長い人生、半年や一年ぐらい休学させてもとも思いますが、その間、将来への不安を抱えて過ごすのは親ではなく子ども自身。学校が普通に始まろうとしている状況をみると、親の心配のしすぎなのでしょうか・・。今回、先生のブログを読ませていただき、同じ親としての思いにふれ、嬉しく感じました。25日の学長メッセージへのブログも読み、私も勇気を出してメールさせて頂きました。木下黄太さんのブログにも、福島大学の先生のことが書かれてあり、頑張って下さっている先生方に心から感謝申し上げます。ありがとうございます。大学では、建物や、グランドの土壌除洗はしないのでしょうか?食堂の食材も、国が安心と言ったからではなく、きちんと生協独自で安全を確認してくれているとありがたいな・・など、素人判断でしかありませんが、あれこれ考え、やっぱり心配性の親です。先生方もどうぞお体にご自愛下さい。長文失礼しました。

  • 2011/04/26(火) 00:26:19 |
  • URL |
  • 心配性 #JUGsyThY
  • [ 編集 ]

お答えになるかどうか…

コメントありがとうございます。

どのような回答をすればよいのか。葵さんのコメントいただいたときからずっと考えていました。さらに保護者の方からコメントをいただき、ますます形だけの答えはできないと考え込んでしまいました。実は葵さんのコメントに対する回答はある程度できていたんですが、今回書き直すことにしました。長文になりますが、ご容赦ください。

お二方のご不安、お悩み当然のことだと思います。わたしもまったく同じです。おそらく行政政策学類、他学類の教員、執行部の中にも、そして多くの学生たちが同じ不安を感じているのだろうと思います。

自宅からそう離れていない学校に通う小中学校と違って、大学はさまざまな地域から学生が集う場所です。とりわけ県外の方からすれば放射線や余震のリスクをほとんど考えなくてもよい場所から福島へ移り住むことになるわけですから、不安を打ち消すことのできるような安心の材料がどこかにないか、誰か提供してくれないか、という思いは切実だと思います。授業開始の日が近づくにつれ、その不安は現実的な重さをもって迫ってきているのだと思います。

大学の再開の時期の適否、判断が難しいです。原発収束の見通しは6ヶ月から9ヶ月と発表されましたが、それは楽観的だという見解もあります。減衰するとはいえ、その間放射性物質の放出が続きます。他方あまりに長い授業開始の延期は、あと1年間を残すだけの4年生、進路決定で正念場を迎える3年生、これからの進路を考える2年生、まだキャンパス生活を始めてすらいない1年生…それぞれの学生に新たな見通しの立たない不安やリスクを生み出すことになります。

だから無期限の授業開始の延期はありえません。必ず期限を切らなければなりません。誰にでも納得できる期限を切ることは本当に難しいです。だからこそ一層、不安を抱えている人に対し考えられうる心配りやコミュニケーション、安心につながると思うあらゆることを行う覚悟と迅速な実行力が必要なのだと思います。その点では、今、行政政策学類の教員たちがおこなっていることは間違っていないと断言できます。このブログでは必ずしもそのすべてを伝えることが難しいですけど。

授業開始の適否を述べることはできませんが。その代わりに、わたしが家族とともにこの福島に戻ってきた個人的理由をお話しします。

大地震以降、わたしには入試委員という仕事があったため10日間ほど大学でその仕事を続け、一区切りがついて子どもの学校が休みになったので、実家の熊本へ10日間ほど帰省し、3月末にまた福島に帰ってきました。他方、その間、他の同僚たちは、寮や金谷川地区に残っている一人暮らしの学生たちを何とか実家や安心できる場所へ送り出すことに昼夜問わず奔走していました。

福島大学近辺のアパートや寮で暮らしている学生は当然一人暮らしで、保護者や親戚が徒歩の距離にいるわけではありません。昼夜問わず余震がひっきりなしに続き、停電し水もガスもない、けれども交通手段がないため福島を離れることもできない。たぶんとても心細かったと思います。そういう学生たちをなんとかサポートして保護者の元へ帰そうと考えた同僚教員の気持ちには敬意を表したいですし、それを短期間のうちにやり遂げた実行力には感服しました。ブログでライフラインとしての保育園のことを書きましたが、同僚教員たちの行動もまた同じだったと思います(ちょっと褒めすぎですがご勘弁ください)。

人間というのは行動するときにさまざまな動機があると思います。不安や恐怖というのもひとつの行動動機になると思います。でもわたしは不安や恐怖ではなく共感で行動したいと願いました。だから福島へ戻ってきました。たぶん、くぬぎさんが記事の最後で触れられていることも同じだと思います。くぬぎさんはウェットな人ではないのではっきり書いてませんが(笑)。

これはあくまでわたし個人の理由です。教員間での内輪の話しでしかありません。またリスクを一切顧みない行為を褒め称えているわけでもありません。ただ、今回のような悩みに悩む選択を迫られたとき、それぞれの局面での判断の際には、リスクの大小だけの評価があるわけではないのかな、と思っただけです。

コメントをいただいたお二方、また、その背後にいらっしゃると思われる同じ不安を抱えている多数の方にとっては、もっと確実な答えが必要なのだと思います。

でも今わたしが誠実にお答えできるとすれば以上のようなことです。

  • 2011/04/26(火) 21:51:27 |
  • URL |
  • 中川 #-
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