ガンバロウ福大!行政の「結」

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震に端を発する東日本大震災をきっかけに、福島大学行政政策学類の教員有志でブログを開始しました。福大行政に関わる情報共有・情報発信の場として、このブログが、読者のみなさんとわたしたちの、また、みなさん同士の結節点になれば嬉しいなと考えています。一緒に手を携えて、この難局を乗り切っていきましょう。     (2012年3月26日記)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

福大×上智大=??Part 2 フィールドワーク➀再生可能エネルギーの現場(伊達市霊山町)

 こんにちは。ぴたです。久しぶりに書いたブログ記事を読んでいただき、ありがとうございます。
 これから、3月11日まで、2月13日、14日の両日に行った、福大と上智大との合同研修旅行の報告を、何回かに分けて行います。
 今日は、初日の2月13日に、3グループに分かれて行ったフィールドワークのうち、伊達市霊山町の「再生可能エネルギー」の現場報告です。上智大学と福島大学の参加者全員で書いた報告書を掲載します。

 その前に…なぜ、伊達市霊山町で学ぶのか?
 このフィールドワークを企画した学生さんが、事前調査のうえ、以下のようにまとめてくれています。
 (*なお、報告書は、誤植等も含め、内容の一部を3月10日午前8時に修正しました。)

********
なぜ霊山のバイオマスに見学に行くのか?

 原発に代わる代替エネルギーが注目されている。そのエネルギーの一つにバイオマス発電があるが、バイオマス発電は、震災及び、放射能の被害にあった福島県内でも実践が始まっている。放射能汚染が日常となった福島、それも避難を余儀なくされた地域の一つである伊達市霊山町で行われているバイオマス発電には、どのような意義があるだろうか?今回のフィールドワークでは、被災地霊山町でのバイオマス発電の意義を学びたい。

・霊山プロジェクトの目的

 バイオマス発電はドイツをはじめ、世界各地で実践されているが、その多くが大規模なものであるとともに、発電された電気は電力会社が買い取っている。いわば、産業としての発電である。たとえば、日本の身近な例でいうと山形にある下水処理場では、集めた下水を使ってバイオマス発電をしており、それによって毎年6千万から7千万分の電気代を浮かすことができ、また下水のにおいを抑えるのにも成功している。またバイオマスで出た残りかすなどを肥料として農家に販売している。収入源としてのバイオマス発電である。バイオマスの目的は、発電と売電、ということになるだろう。

 しかし、霊山で行われているバイオマス発電は、発電と売電が第一の目的とはいえない。ここでは、放射能に汚染された、道路、河川の刈り草や農作物などを処理するための手段としてバイオマスを使っている。またもっとも大きな特徴としては、地域の特産物である柿を原材料として使っていることである。放射能汚染によって地域の特産物である柿は販売できなくなってしまった。使われなくなった柿は大量に農地に放棄されてしまった。無駄になっている柿をなんとかりようしたい、また、農地に放置されることで放射能汚染が広がりかねない柿の力を使って、放射能の回収とを行えないか―そんな思いから霊山のでのバイオマス発電は始まっている。

 また、霊山での試みには、ホームセンターで買えるような道具しか使っていない。誰でもが手にして、簡単な知識と技術で実践できる試みである。

 また、こうした地域での試みを通じて、避難勧奨地点の指定に伴って生じた地域の分断が修復されつつある。再び地域の人たちがつながり、活動が芽生え、その活動が霊山に人を呼ぶきっかけになり、それによってバイオマスのことや霊山及び被災地を知ってもらおうとしている。

 さらにこの計画は、バイオガス製造装置を整備し、この中に地元の汚染された野菜等の測定残渣や食品残渣などを材料として投入し、メタン発酵させ、残渣の形で濃縮した放射性物質を、行政等が進めている仮置き場等での一時貯蔵ルートに乗せて適正に管理していこうという取組みでもある。放射能に汚染された地域で長期間生活をしていかざるを得ない福島県民にとって、バイオガス製造装置を設置することにより、身の回りにある汚染物質をしっかりと管理していくことが可能になる一つの方法なのかもしれない。

<解き明かしたい疑問>

・このプロジェクトはホームセンターで買えるものでの発電にこだわっている。それはなぜか?
・クイズ:バイオマスに使う食品の中の一つにあんぽ柿がある。あんぽ柿1キロからどのくらいのガスが発生するか?
・どんなものが一番ガスが出るのか?
・個人で行っているこのような事業を支援していくためには、行政にはどのようなかかわりが求められるのか

**********

この「趣意書」を読んで行ったフィールドワーク…
以下が、フィールドワーク後にグループがまとめた報告書です!とても勉強になりますね。

******
福島県伊達市霊山村「霊山プロジェクト」のバイオマス発電施設見学

<導入>

 2015年2月13日、上智大学と福島大学との合同ゼミが開催された。本ゼミは、原発事故後の福島の現状を知る、というテーマのもと上智大学の学生が福島県を訪れるという形で行われた。私たちは、「霊山プロジェクト」と呼ばれる、小規模なバイオマス発電が伊達市霊山町で行われていることを知った。霊山町は、原発事故後、一部の地域が避難勧奨地点とされた。私たちは、避難対象になっていない地域では最も放射線量が高かった地域である霊山の小国地域でバイオマス発電を行っている霊山プロジェクトの一人である大沼豊さんのもとを訪れ、バイオマス発電の意義や過疎化が進む農村と復興の結びつきを考えるためのフィールドワークを行った。
 大沼さんが一員として活動している霊山プロジェクトは、日本工業大学名誉教授佐藤茂夫先生の指導のもとバイオガス活用を実践している。その活動の1つとして霊山プロジェクトでは、小国地区の小さなプレハブ施設でメタンガスの生成の実証実験を実施している。実験では、放射性物質に汚染された食品残渣、農作物、刈り草、汚泥、生ごみを家畜の糞尿と混ぜ発酵処理することで、メタンガスを発生させた後、どの物質でどのくらいのガス発生効率があるのか、また、発酵処理後、物質にどのくらいの放射線量が残るのかを実験している。下の写真のプレハブ施設は、ホームセンターで購入した資材を使い、手作りで立てられたという。発生させたメタンガスは、プレハブの隣の建物のガスコンロで実際に使用されている。




<プロジェクト開始のきっかけ>

大沼さんは、震災以前、建設業の仕事をされて、バイオマス発電とは深い関わりはなかった。震災後このようなプロジェクトを始めたきっかけを3つ話してくださった。まず1つ目は、大沼さんの奥さんの一言だった。大沼さんのバイオマス発電施設のある小国地区は福島第一原発の事故後、放射線量に応じて避難勧奨地点が指定された。そのため、同じ地区に避難勧奨地点とそうでない場所が存在していた。避難勧奨地点の住民は、月10万円の支援金を受け取っていた。しかし、この支援金を巡って地域の和が乱れてしまった。支援金を受け取っている住民が車など何か新しいものを買うと、避難勧奨地点ではないところに住む同じ地区の住民が「10万円の支援は不公平だ」という感情を持つことになったという。「同じ地区なのに不公平だ」という声が高まっていった中、大沼さんの奥さんは「この避難勧奨地点として受けている10万円を何か復興のために使えれば良いのでは。」と大沼さんに話したそうだ。
 次の理由としては、大沼さんの息子さんが東北大学の名誉教授である野池達也先生と知り合ったことが挙げられる。野池先生との出会いは、特定非営利活動法人再生可能エネルギー推進協会の方々が来町することにもつながった。また、その理事の方達の中に東芝(OB)の方も数名いたそうだ。東芝は、福島第一原発の建設に関わった会社だった。息子さんが関東で東芝の社員の方と知り合い、大沼さんが行おうとしているバイオマス発電について話したところ、「自分たちが建てた原発がこのような事故を起こしてしまい申し訳ない。罪滅ぼしのために、協力して再生エネルギー事業を進めさせていただきたい。」との言葉を頂いたそうだ。
 最後に挙げられていた理由は、「生まれ育った場所に留まりたい」というものだった。「自分たちで復興を進め、生まれ育った場所で暮らし続けたい」という気持ちが大きいと大沼さんは話していた。以上の三つの理由によって、大沼さんはバイオマス発電によって地域を復興させる取り組みを始めたという。


<現在の展望①ビニールハウス栽培>

 現在、霊山プロジェクトは、さらなる展開を見せている。霊山プロジェクトでは、ビニールハウスを造り、ハウス栽培を実施している。このビニールハウスの暖房には、発酵メタンガスを燃焼させた熱を利用している。ここで栽培されたトマトは、ピクルスや醤油漬けに用いられており、商品化もされている。プロジェクトでは、このような経営を多角化させるいわゆる6次産業化にも力を入れている。青トマトのピクルスや醤油漬け、ナツハゼジャムは、仙台のイベントにも出展され高い評価を得た。見学の際には、奥様手作りの蒸しケーキ、漬物やフルーツをおいしくいただいた。



 霊山プロジェクトでは他にも信夫冬菜(福島の伝統野菜 薄い緑色をしており、縦に伸びてやや柔らかい葉が特徴的です。)の蒸し菓子やモロコシ団子、モロコシクッキーといった様々な地元の農作物の商品化に取り組んでいる。さらに、団子やクッキーに使用するモロコシの茎や葉の部分は、メタン発酵原料としても使用されている。
また、霊山プロジェクトでは、農作業等に使用されるバックホウ(ショベルカー)の燃料として、使用済みの天ぷら油をジーゼル燃料に変えたものを利用するなど、環境にも配慮している。
 こうした環境に配慮した手法でつくられた商品を、道の駅などで販売することを霊山プロジェクトは計画しているが、商品を作るための加工場が資金面の問題などで実現出来ていない。農作物の加工場の建設には、相当のお金が必要になる。以前元養蚕場を加工場に改装しようと考えたが予算の問題で実現しなかった。
しかし、その対応策として、大沼さんは農業体験やバイオマス事業の見学に観光客を誘致する際に、小国地区で作られた商品も紹介・販売するということを提案している。販売が実現すれば、加工食品を通して霊山プロジェクトの一連の活動を多くの人に知ってもらうきっかけになりうるだろう。


<②小学生への課外授業>

 霊山プロジェクトでは、自らが行っているバイオガス発電などの再生可能エネルギー事業について小学生向けに課外授業も行っている。原発事故で飛散した放射性物質によって被害を受けた地域だからこそ、若い世代に対して、小さいころからバイオガス発電などの再生可能エネルギーがいかに重要であるかを知ってもらいたいという想いから、この課外授業は行われている。授業は我々が説明して頂いたような専門的な難しい話をするのではなく、研究に協力して頂いている大学教授に依頼し、小学生向けに優しくとっつきやすい内容で説明している。例えばバイオガス発電についての説明では、ペットボトルを利用してガスの発生方法を簡単に、楽しく、小学生が興味を持てるように説明をしている。また、小学生が身近に再生可能エネルギーというものを感じ取れるように、学校内に無償で太陽光パネルを設置し、それを利用して再生可能エネルギーについて説明もしている。
 このように、霊山プロジェクトは再生可能エネルギー事業を将来的に普及させるべく、その鍵を握っている若い世代に、自らの活動を通して授業を行っている。


<「全部お金をかけずにやる」>



 こうした様々な取り組みに際し霊山プロジェクトでは、できる限り費用をかけないことを信条とする。
例えば、上の写真に見えるペットボトルは、発生させたバイオガスの貯留タンクに圧力をかけてパイプに抽出させるためのものである。また、バイオガスの発酵槽を保温する壁にU字溝、発生したガスを溜めるパイプに水道パイプ、ガスの発生量を図るための目盛りには差し金や金属製の巻尺、そして電動ドリルなどを用いる。もともと建設業に携わっていた大沼さんにとって身近な建材や道具、あるいはホームセンターなどで調達できる安価な資材を利用し、装置の製作費用を抑えることに成功している。
 また、施設の訪問者を案内する休憩所も、養蚕小屋として作られた木造の小屋を利用している。最近は視察に訪れる人も増えているが、「立派な新しい建物ではなく昔からここにある小屋の雰囲気も味わいながら休憩してほしい。」と、敢えて小屋へ案内するそうだ。私たちが訪問した日も、この小屋で休ませていただいた。小屋の中にもあるバイオガス貯留槽から引いたガス沸かした湯でコーヒーを入れてくださった。手づくりのバイオガス装置と、その働きを目の前で見ながら、プロジェクトの現状や展望を話すのにぴったりの空間だった。


<課題①地元と行政のあいだで>

バイオガス実証施設を手づくりし、大沼さん達が所有していた施設や資材を活用するなどの工夫によって活動してきた霊山プロジェクト。一方で、さらにプロジェクトを推し進めるためには資金面の課題が残る。例えば、6次産業化で生まれた青トマトのピクルスやモロコシクッキーなどを商品化し、販売するために必要な加工場の建設及び運営には費用がかかる。しかし行政からの補助金を受け取るにしても、困難は多い。地元負担額が大きく十分な資金を得られなかったり、申請の手続きが複雑でなかなか進まなかったりするからだ。復興庁からの交付金を得るためにも厳しい条件がある。まず月ごとの計画の提出と実績が求められる。新たな取り組みに際しては臨機応変な対応が求められ、急な計画の変更も予想されるので、こうした条件を満たすのは難しい。加えて、3年後に形に残るものを作ることも条件に含まれており、「5年あれば」と、時間的制約に悩まされることも多いそうだ。地元の復興を目指して軌道に乗ってきたプロジェクトを、さらに広めて地域振興につなげるために、行政は長い目で、柔軟な姿勢でプロジェクトを見つめ助ける必要があろう。

<課題②>

 大沼さんは、プロジェクトが抱えるさらなる課題を私たちに語ってくださった。それは、バイオマスで生成したメタンガスの実用化に関する問題である。一般家庭や工場でさらに実用的にガスを使うとなるとメタンガスをガスボンベに抽出するための機械が必要になる。ガスボンベに入れてしまえばどこでも利用が可能になるが、ボンベに注入する機械は、高価なものである。一度企業に機械の見積もりを提示してもらえるよう交渉したが企業側は見積もりを渋った。ボンベに抽出する機械自体は値が張るものではないが、一個人に向けて安く提供してしまうと法人向けにも値下げせざるをえないため企業は協力的でないのだ、と大沼さんは推測する。霊山プロジェクトの施設は現在、実験的機能を主に担っているが、経営を拡大するべく、大量のメタンガスが生成できるようになればそれを活用するための設備は必ず必要になる。また霊山プロジェクトの取り組みを参考に学校や施設単位でバイオマスを導入するとなればそこに企業の力は不可欠だろう。
 加工場にせよガスの実用の問題にせよ、ここまで形になっているプロジェクトを今後一般に広めるため企業や市町村が協力して推進できれば確実に大きな一歩に繋がるだろう。

<大沼さんの想い>

 最後に大沼さんは、将来のプロジェクトの展望について話してくださった。平成29年度に霊山町を通る高速道路が完成する予定なので、その休憩地(IC)にバイオマス発電でエネルギー全てを賄うことができる道の駅を設置したいと考えている。道の駅に自然エネルギーを活用するというこの展望は、霊山プロジェクトだけではなく、プロジェクトに協力している再生可能エネルギー推進協会の夢でもある。大沼さんは、この計画が達成されれば、「再生可能エネルギー発電の霊山町」という触れ込みで全国、さらに世界へアピールができ、地域を盛り上げることにつながるはずだろうと話されていた。
 また、山形県の下水処理場を引合いにだし、紹介してくださった。そこは人糞を利用し、バイオマス発電を行い、施設の電気を回している。この下水道局が行うバイオガスシステムでのガスタービンは一台1億円という巨額の費用がかかるが、数年で元は取れる計算だそうだ。行政がバイオマス発電に目をつけ、検討し行動に移した結果が持続可能なエネルギー政策を達成することができた。例に挙げた山形県の自治体のように福島県の自治体は原発事故の被害があったからこそ再生可能エネルギーに力を入れるべきではないか。しかし、近くの霊山町で行っているプロジェクトのバイオマス発電にでさえ、視察にも来ることがなく、むしろ他県からの方が多いそうだ。大沼さんのバイオマス発電を普及していきたい想いと行政の行動が逆行しているのが現状だ。大沼さん自身その実情に憂うことがあるが、地域のコミュニティー形成のため、我々学生含め未来ある子供たちにこの活動を知らせるために続けていきたいと考えている。

レポート執筆:
菅生玲子(上智大学)、名和ゆいの(上智大学)、大河原楓(上智大学)、山崎海里(上智大学)、中村華子(上智大学)
鈴木北斗(福島大学)、菅野なつみ(福島大学)、菊池早苗(福島大学)、遠藤侑弥(福島大学)、樋口孝輝(福島大学)
*****
(つづく)

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://311gyosei.blog39.fc2.com/tb.php/328-db558607
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。