ガンバロウ福大!行政の「結」

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震に端を発する東日本大震災をきっかけに、福島大学行政政策学類の教員有志でブログを開始しました。福大行政に関わる情報共有・情報発信の場として、このブログが、読者のみなさんとわたしたちの、また、みなさん同士の結節点になれば嬉しいなと考えています。一緒に手を携えて、この難局を乗り切っていきましょう。     (2012年3月26日記)

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福島から、未来へ――SF作家・評論家を大学に迎えて

昼の震災対策室からおひさしぶりです、清水です。

このブログをはじめてから、更新間隔が最も空いてしまったのではないでしょうか…反省。
最近は、夜室長もぴたさんも、雲隠れしたかのように顔を見ません…うーむ。

そして、私自身も、前回の更新以降身動きが取れず…反省。

なんか、最近こんな書き出しばかりですね…反省。

という惨状の中で、記事を寄稿してくれる方がポツポツと・・・ありがたや。

今日は、高橋準さんからいただいた「福島から、未来へ」という記事を掲載します。

ぜひ、文末のリンクと合わせてご覧ください。

ではでは、準さん、よろしくおねがいします!

*******
 去る7月28日、4人の外国人SF作家・評論家が、福島大学を訪れました。パット・マーフィーさん(『ノービットの冒険』作者)、パオロ・バチガルピさん(『ねじまき少女』作者)、呉岩さん(中国のSF評論家)、ドゥニ・タヤンディエさん(フランス人、現在立命館大教員)。この4人は、第二回国際SFシンポジウムのために集まり、各地を行脚しながらシンポジウム、講演会をこなしていらっしゃいました。その旅の終着点が福島になった、というわけです。
 といっても、来福は最初から予定されていたわけではありませんでした。わたしのところに、SF・ファンタジー評論家の小谷真理さんから、「シンポジウムのメンバーが、せっかく日本に行くのだから(註:もっともドゥニさんは京都在住)、福島にも行きたいといっているんだけど」という連絡をもらったのが、7月4日。シンポジウム・ツアーは7月20日からですので、日程のわずか2週間ほど前。けっこう泥縄です。(シンポについてはもっとすごい話も聞きましたが、ここでは割愛。)
 「震災と原発事故や現在の福島について、シンポジウムに参加する作家たちにレクチャーしてくれませんか」――まとめ役である小谷さんと巽孝之さん(慶応大)から、こう頼まれてしまっては、イヤとは言えません。(実は昨年、お二人に福島大学で講義をお願いしたという弱みが。)さっそく、セミナーの企画を立てることにしました。
 前日27日には、東京でのパット・マーフィーさんの講演会にも足を運び(彼女のサインがほしかったという説もあり)、打ち合わせの上で、最終的にはセミナー全体は、次のようなかたちに。

[1] 震災と原発事故、避難、そして福島の現状(レクチャー)
[2] 福島大学の避難所について(レクチャー)
[3] 福島からの声(スピーチ)

 [1] は、最初一部をまかせようと思っていた人が地球の裏側に行っていたりして(泣)、しょうがなくすべてわたしが。[2]は、避難所の責任者だった鈴木典夫さんとかいいなと、思っていたのですが、当日は出張で不在ということで、避難所運営にかかわっていた人間発達文化学類卒業生の伊藤航さんに。そして[3]は、福島市在住のSFファンの方や、原発立地自治体出身の方に、ショートスピーチをお願いしました。
 セミナーには、シンポジウムメンバーのほか、通訳の原田さん(アメリカの大学院でSFを研究されているとか)、翻訳家の嶋田洋一さん、呉さんが教えている大学の学生さん(日本のアニメが大好きと、あとでうかがいました)なども参加。また、ジャーナリストの藍原寛子さんが取材にみえました。ときおり英語で、ときおり日本語+逐次通訳で、という形で進むなか、シンポジウムメンバーはみんな熱心に聴いてくださり、要点をついた質問がいくつも飛び出しました。あまりにもの熱心さに、みんな話す予定のなかったことまでつられて話し始めたり、一時帰宅のときの写真をネットにアクセスしてスクリーンに映して見せたりと、予定した時間はすっかりオーバーしてしまいました。

sf0002.jpg
(写真1:左から、パオロ・バチガルピさん、パット・マーフィーさん、通訳の原田さん、呉岩さん、ドゥニ・タヤンディエさん。)

sf0001.jpg
(写真2:左が小谷真理さん、右が巽孝之さん。)

 「広島から福島へ。シンポジウムは、今年日本SF大会“こいこん”が開催されている広島からスタートした。核兵器が歴史上初めて使用された場所だ。そして、原発事故が起きた福島が終点になった。今回の旅は、地理的移動でもあったが、同時に時間をたどるものでもあった。」
 これは、コーディネータの巽さんのことばですが、ひとこと付け加えるなら、「きっとこの先、作品を通して、未来へとたどりつくでしょう」ということ。将来、SF作品の中に生かされたら、福島でのさまざまな経験を、また違った形で受け取ってくれる人が、たくさん増えることになるでしょうね。期待して待ちたいと思います。※1
 終わった後は、市内の「陽風水」(川俣シャモ料理とワインのお店)へ移動してディナー。ワインはお店のリストからわたしがセレクトして、ご賞味いただきました。好評で次々とボトルが空いていき……いえ、どうも皆さん、すでにこれまでも道中で、毎晩飲んだくれていたようですけどね。(笑)
 (シンポジウム等の企画やメンバーの詳細は、末尾のリンクを参照してください。最後のTogetterには、福島セミナーや「陽風水」での食事会の様子なども入っております。また藍原寛子さんが、記事を8/17発行の『ビッグイシュー』に寄稿されています。)

※1もっともSFに限らず、作品の中に震災やその中での経験を、そのものとして織り込むのは、決して容易ではない。いずれもSFではないが、事例を挙げると、たとえば三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』の4巻では、東日本大震災の被災経験を持つという人物が登場する。また、田中芳樹の『魔境の女王陛下』(薬師寺涼子シリーズ)では、原発事故後であるという設定で、さまざまな小ネタがふられている(ただし、小説の舞台はシベリア)。ファンタジー系ライトノベルである和ヶ原聡司の『はたらく魔王さま!』では、阪神淡路大震災当時に神戸在住であった女性が、主要登場人物に近しいという設定で登場する。シリーズ1巻では、敵対するものの攻撃によって、主人公たちが新宿地下街で生き埋めになりかかるというエピソードがあるが、これは建物の下敷きになって圧死者が多く出た、阪神淡路大震災を踏まえてのものである。しかし作者は、シリーズ5巻の「あとがき」で、「東日本大震災については本作中では描かない」旨の宣言をしており、作家にとって震災というテーマが、重く、困難なものであることを示唆している。なお、福島県南在住のマンガ家・端野洋子による『はじまりのはる』は、住民の目線で、原発事故後の福島を描こうとしている作品で、今後の展開も含めて興味深い作品である。「来訪者」の視点から震災後の福島を描く、雁屋哲原作『美味しんぼ』と比較して読まれるとよいと思う。
 なおSFについては、最近の大震災を直接作品に取り入れたものは見たらないが、「災害を描いたSF」ということでいえば、数多くのものが該当する。たとえば、恒星の新星化を理由とする、惑星単位での避難が描かれたアイザック・アジモフの『宇宙気流』や、同じ設定ではあるが、むしろ避難の計画策定と実施にストーリーのほとんどを割いた、眉村卓の『消滅の光輪』(「司政官」シリーズの長編)などである。今回の長期化している避難の経験は、たった数行程度で、惑星単位の避難を書き飛ばしたアジモフのものよりも、むしろアジモフへのオマージュとして書かれた眉村の作品と重ねてみるべきであろう。もともと「司政官」シリーズは、植民惑星上での現住知性体との文化接触や、惑星統治を描く政治学的SFではあるが、『消滅の光輪』において眉村は、避難とはまさにさまざまな政治的・経済的・社会的利害が複雑にからまりあった過程であるということを、克明に描写しようとしている。その意味では、日本SFにおける災害SFの嚆矢ともいえる、小松左京の『日本沈没』も、本来小松が書きたかったという、「日本沈没」後に世界を漂流する、日本人たちのディアスポラ状況を、小松自身の筆で描ききって欲しかったと思う(谷甲州が作品にしている)。そのほか最近の作品では、上田早夕里の海洋SF『華竜の宮』が、地殻変動と海進後の地球を舞台に、海洋民と陸上民の政治的・経済的・文化的確執を描いている。わたしたちの生きる時代は、常に複数の大変動の狭間=「間災期」であることや、2011年度の「センス・オブ・ジェンダー賞」を受賞することになったジェンダーやセクシュアリティの設定など、さまざまな視点からの批評に耐えうる作品である。


◯関連URL
日本SF作家クラブのシンポジウム案内ページ
7/27のパット・マーフィーさん講演会の案内
写真で振り返る第2回国際SFシンポジウムと海外ゲスト

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