ガンバロウ福大!行政の「結」

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震に端を発する東日本大震災をきっかけに、福島大学行政政策学類の教員有志でブログを開始しました。福大行政に関わる情報共有・情報発信の場として、このブログが、読者のみなさんとわたしたちの、また、みなさん同士の結節点になれば嬉しいなと考えています。一緒に手を携えて、この難局を乗り切っていきましょう。     (2012年3月26日記)

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「ひろやすの部屋♪」~共生システム理工学類・永幡幸司さんに聞く

 先日、ブログ記事へのコメントに、
 「福島大学HPで構内の放射線量が発表されていましたが、具体的には何μSv/h以下になれば授業を開始できると考えていますか?」、という書き込みがありました。

 いま多くの人が直面している難しい質問です。そして、今の私たちにはとても切実な問題でもあります。

 単純に1時間当たり何μ㏜以下になれば授業を開始してよいかという明確な基準はありません。
 そもそも基準を考える前に、各種の測定結果をどう評価するかという難しい問題があります。
 たとえば福島市の外気放射線量の測定結果も、測定地点や方法によって異なっています。また、時間当たりの線量よりも実質的な意味を持つのは積算線量だという議論も説得力があります。さらには、放射線量の計測によって分かるのは外部被曝だけのことで、より人体に影響があるとされる内部被曝についても考慮しなければなりません。

 さらに問題を難しくしているのは、放射線量について、これ以上は危険であるという基準は存在していても、これ以下は安全であるという基準は存在しません。こうした状況で、誰がどうやって「安全」かどうかを決めるのでしょうか。

 やはりとても難しい問題です。どう考えればいいのか、いろんな人の意見を聞いてみることが大事だと考え、以前登場していただいた共生システム理工学類の永幡先生にアドバイスをもらいに行ってきました。

 永幡さんはご自身の考えを文章におこしてくれました。この問題については、私たちも必死で考えているところですが、みなさんの考えなどもぜひお聞かせください。なお、永幡さんは、この文章に先だって、「福島大学長の3月25日付コメントの検討」という文章も書いています。関心のある方は、そちらもご覧ください。


「安全」を決めるのは誰? 共生システム理工学類 永幡幸司

 放射線を浴びた場合の人体に対する影響には,短期的影響と長期的影響があることが知られています.このうち,長期的影響としては,癌にかかるということが知られており,10mSv浴びた場合で1000人に1人,1mSvの場合で1万人に1人の割合で発がんすると言われています.このことについて,テレビの解説などで専門家である科学者が「そもそも日本人の半分は癌になるので,被曝によりたとえ1mSv浴びたとしても,1万人に対し5千人が癌にかかっていたところが,5001人に増える程度です.このように現在の放射線量は安全なもので,心配することではない」といったような説明をすることがあります.このような,科学者の言うところの「安全」とは,どのようなものなのかについて考えてみましょう.
 まず,皆さんに質問です.Aというものをaという量浴びた時「100人中0人が癌になる(すなわち誰も癌にならない)」ということがわかった場合,これは安全ですか.おそらく,この質問には全員が「安全だ」と答えるでしょう.逆に,「100人中100人が癌になる(すなわち全員が癌になる)」という場合はどうですか.この場合は,全員が「危険だ」と答えることと思います.では,「100人中50人が癌になる」と場合はどうでしょう.「100人中10人が癌になる」場合は?,「100人中1人が癌になる」場合は?,….おそらく,多くの皆さんは癌になる割合がある程度以上高いと感じる場合は「危険」と答え,ある程度低いと感じた場合は「安全」と答えるのではないかと思います.では,その境目は?
 上の問いかけから勘付いていただけたのではないかと思いますが,安全であるかどうかは,皆さんがどのように「感じるか」で決まります.科学ができることは,あるもの(こと)の人体に対する影響が,どの程度のものであるのかを示すことだけです.したがって,上述の専門家の説明のうち,「そもそも日本人の半分は癌になるので,被曝によりたとえ1mSv浴びたとしても,1万人に対し5千人が癌にかかっていたところが,5001人に増える程度です.」という部分は,科学的な知見に基づいた発言であると言えるでしょうが,これについて「安全」というのは,この発言をした科学者にとって「安全」であるという意味に過ぎません.だから,科学者が「安全」と言ったから「安全だ」と鵜呑みにしてしまうことは,科学を信じていることを意味するのではなく,科学者の感覚を信じていることに過ぎません.このことに注意していただきたいと思います.
 その上で,癌にかかる人が1万人に対し5000人から5001人に増えることが,本当に手放しで安全と言えることなのかを考えてみたいと思います.
 巷には健康雑誌やテレビ番組の健康特集などの健康情報がたくさん流通しており,その中でよく取り上げられる話題の一つが「癌予防」であるように思います.また,「癌予防」でホームページの検索を行うと,莫大な数のページが検索されます.逆に「○○を食べると癌になる」といった類の情報に詳しい方は,私の身の回りにも何人もいます.これらのことは,「癌にならない」ということがとても大事なことであり,そのために努力できることはどんな些細なことでも実践しようという人が,世の中には少なからず存在することを意味しています.癌予防を謳った健康食品産業が産業として成り立っているということは,そのような人がそれなりの人数いるということを意味しているのではないでしょうか.このような立場の人から見れば,癌の発症率をあげるようなことは,たとえリスクが小さくても好ましくないことであり,決して安全とは言えないであろうと思います.このような事例があげられるということは,手放しで安全と言えるものではないと言えるでしょう.
 あることが安全であるかどうかを決めるのは,決して科学者の仕事ではなく,私たち一人一人に与えられたの課題です.科学者の仕事は,私たちが安全性を判断するための科学的知見を蓄積し,それをわかりやすい形で市民に提示することです.そして,例えば国の安全基準のように,ある集団における安全の基準は,集団に属するもの全員が意見を出し合い,合意形成をしながら決めていくべきものです.ある集団にとっての安全を.一部の(御用)学者の感じた,集団指導部にとって都合が良い安全によってのみ決定し,それに反する意見は流言や風評と片づけてしまうのは,全体主義と断じざるを得ません.
 世の中を本来あるべき姿にしていくためにも,まずは,皆さん自身が放射線のリスクのどこまで受け入れることができるのか熟考してください.そして,皆さん自身にとって受け入れられないリスクを「安全」だと言われた場合は,それに対して異議を唱えてください.安全を決めるのは,国でも,御用学者でもなく,私たち皆の声なのですから.


コメント

個人の判断が大切ということわかりました。


福大教授の皆さんの現状の放射能レベルの評価を聞きたいです。

  • 2011/04/08(金) 22:32:13 |
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  • 記事にある質問をした者です #-
  • [ 編集 ]

残念ながら一般論的な回答しか得られなかったので、武田邦彦先生の安全基準を目安にしようと思います。

  • 2011/04/09(土) 00:34:29 |
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  • 記事にある質問をした者です #-
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