ガンバロウ福大!行政の「結」

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震に端を発する東日本大震災をきっかけに、福島大学行政政策学類の教員有志でブログを開始しました。福大行政に関わる情報共有・情報発信の場として、このブログが、読者のみなさんとわたしたちの、また、みなさん同士の結節点になれば嬉しいなと考えています。一緒に手を携えて、この難局を乗り切っていきましょう。     (2012年3月26日記)

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学生の力で世界とつながろうプロジェクト 第1報 6月11日

こんばんは。夜室長のひろやすです。
前回の記事でピタが報告してくれたように、今週10日から1週間のスケジュールで、「学生の力で世界とつながろうプロジェクト(略称:学ツナ)」が始まりました。あいにく、9日に福島は梅雨入りしてしまい、すっきりとしない天気が続いていますが、全国・世界から集まった学生たちは、毎日、県内各地を飛び回っているようです。その詳細については、後日、実行委員会の学生さんから報告があると思うので、今日は11日に大学で行われた、ワークショップ&レクチャーの様子をお伝えしましょう。

今回の研修旅行の参加者は23名で、実行委員は福大生11名。国内の参加者は、10の大学から20名。海外からは、マレーシア、台湾、インドネシアから3名が参加しました。一方海外からはもっと参加希望があったのですが、ビザが取得できず断念した方もいて残念でした。それでも、夏休みでもないのに、まるまる1週間、こんなに多くの学生さんが、「自主休講」で参加してくれたなんて、感激です!

前夜、土湯温泉に泊まった一行は、10時前には福島大学に到着し、大学生協2階の会場に移動しました。実行委員の先発隊は9時頃から会場の設営をして準備万端。夜室長が会場に着いた時には、すでに4つのグループに分かれて座っていました。スポンサーになっていただいた、福島南ロータリークラブの役員の方々が駆け付け、マスコミ(NHK、FMポコ、福島民報)が取材にきており、なんとなくザワザワした感じですが、学生さんたちはまだ緊張気味。前夜に自己紹介はしたようですが、まだ知りあって間もないですから仕方がないですね。

取材風景①
<取材風景①>
取材風景②
<取材風景②>

10時15分、司会の松本くんの開会宣言につづいて、福島大学を代表して、後援団体でもある「うつくしまふくしま未来支援センター」の山川センター長からご挨拶をいただきました。東日本大震災と原発事故では、①人間が自然から切り離され、②人間も分断されてしまい、とくに双葉八町村では、いつどうやって戻るかという問題が生じている。福島大学は震災直後から大学の体育館を避難所として開放し、その後も仮設住宅の支援などを続けてきたが、そこでは「学生の力」が発揮され、高い評価を得ている。現在、福島県からは若者が流出しているが、若者がいるだけで元気づけられることも多い。国内外の学生の交流の中から、福島の復興・再建のために、ぜひいろいろな提案をして、それを行動に移してほしい、というエールが送られました。

続いては、グループごとのワークショップ。まずは、自己紹介がてら、昨年3月11日にはどこにいてどんな経験をしたのか「自分の中の震災」を、一人ずつが話します。参加者の学生さんは5~6人のグループに分かれ、そこに、ファシリテーター役の実行委員が2名ずつ加わって、進行を手助けします。お互いに話しているうちに、各テーブルからは笑い声も聞こえるようになり、取材のカメラやマイクも気にならなくなってきたようですね。各自の経験は、ホワイトボードに書き出されていきます。

自己紹介①
<自己紹介①>
自己紹介②
<自己紹介②>
自己紹介③
<自己紹介③みんないろいろ活動的です!>

それが一段落したところで、今度は、福島についてどう考えているのか、どう思っているのかのブレーンストーミング。大きめの付箋と模造紙が用意されており、まずは、各自が、福島に対するイメージを自由に付箋に書いていきます。「原発」や「災害」に関連するものだけではなく、「自然が豊か」「果物が美味しい」「ママドール」「イメージがない」・・・いろんなイメージが飛び出します。そして、その付箋を、模造紙(ネガティブなイメージとポジティブなイメージに区分されている)に貼っていきます。ワイワイガヤガヤ、楽しそうですね。いつもであれば、夜室長も手だし口出しするところなのですが、今回は遠巻きにして見守ります。

ブレーンストーミング①
<全国・世界の大学生でブレーンストーミング>
ブレーンストーミング②
<ブレーンストーミング②>

そろそろお昼が近づいてきたところで、グループごとに、ブレーンストーミングの成果の発表がありました。発表順にその要点をまとめておきましょう。

発表①
<発表風景>

○ 1班
・ 震災を直接体験した人とそうでない人との間でイメージが違っていた。震災を体験していない人は、原発のみのイメージだったのに対して、震災を体験した人は、津波や地震などすべてのイメージがあった。メディアに流されていた部分があったのではないか。
・ 津波被害はがれきの撤去など目に見えるものがあるが、福島で何のボランティアをしたらよいかわからない。それを知りたくて今回のプロジェクトに参加した人もいる。
・ ポジティブなイメージとしては、「自然が素晴らしい」「災害を契機として新しい雇用につなげている」「地域の人がやさしい」などがあった。
・ 今回の震災・原発事故で、福島は、片仮名の「フクシマ」として世界に広がっている。第二の「ナガサキ」「ヒロシマ」になるのではないか。

○2班
・ ポジティブなイメージとしては、「自然」「文化「人柄の温かさ」などがあり、ネガティブなイメージとしては、「津波」「地震」「原発」「風評被害」「人が少ない」などがあった。
・ これからどうしたいのか、何がしたいのかについては、福島の人がどのようなことを考えているのかを知りたい。ホームタウンのよさをどう考えているのか。
・ オーストラリアの会社がレアアースを求めてマレーシアに進出してきて、反対運動が起こっている。フクシマは世界の問題だ(マレーシアから参加学生)。

○ 3班
・ ポジティブなイメージよりも、「危ない」「不安」といったネガティブなイメージのほうが強かった。
・ それとともに、「よくわからない(イメージがない)」「知らない」という意見も多かった。このプロジェクトを通じて、本当の福島の姿や、どこが安全で危険なのか正しい知識を知りたい。

○ 4班
・ 原発事故が価値観を変えたのではないか。事故以前であれば、電力を供給したり雇用につながっていたものが、事故以後は、危険な存在として認識されている。
・ 福島に対するイメージは「半透明」。
・ 今回のプロジェクトを通じて、ナマの情報を得て、自分の言葉で語れるようになりたい。また、学生のネットワークをつくりたい。

発表②
<発表風景②>

夜室長は、メモをとりながら、なるほどと思いながら聴いていました。「半透明」とはうまい表現ですね。たしかに、いままでなじみのない県に対してはっきりしたイメージがあるわけではありません。たとえば、ピタの出身地の香川県だと、「讃岐うどん」「小豆島」「金比羅宮」「瀬戸大橋」「満濃池」など観光イメージが真っ先に思い浮かびます。関西出身の学生さんにとっては、福島県の位置もおぼつかないかもしれません(東北の学生にとって、四国・九州・中国地方の県が不確かなのと同じように)。

12時半ころに午前の部が終了し、学生食堂でお昼をとって、13時45分から午後の部が始まりました。午後は福大生による学生企画のレクチャー。前半は、実行委員の曽田さん、高山さん、高畑くんが、「震災及び原発事故」について発表し、後半は、学生災害ボランティアセンターの川村くんと塩谷さん(夜室長の娘ではありません)が「震災復興支援」について発表しました。

レクチャー
<レクチャー>

曽田さんの発表は、「なぜ日本の原子力政策が変わらなかったのか」。以前、ドイツ訪問の際に発表したものを、ブラシュアップし、「社会構造」「市民運動」「マスメディア」の3つの視点から、原子力政策の問題点を論じました。また、原子力政策の今後については、原発立地地域の住民にとっては、賛成か反対かといった単純な二項対立ではなく、「命か生活か」といった重い選択の問題であると指摘しました。

高山さんと高畑くんからは、それぞれの震災体験記。
高山さんは、アパートで被災して、避難所で1週間の避難生活を体験したそうですが、それまで一言も話したことがなかったアパートの住民に助けられ、周りの方のやさしさ、当たり前の生活のありがたさ、人の力の強さ、を感じたと話してくれました。秋田出身の高山さんにとって、震災前の福島はただ大学に通うだけのところだったのが、震災を契機に、福島のことを忘れてほしくない、自分で見た福島を伝えていきたいという思いを強くしたそうです。
高畑くんは、震災発生時にはカラオケボックスにいて、地震発生後も歌い続けようとしたというのですから驚きです(さすが、ボーカリスト!)。同じ福島県内でも、実家のある会津では震災の受け取り方が違ったことや、「侍グループ」として県外でさまざまな人と出会うことによって、県内外で捉え方が違うことを知ったそうです。また、反原発や脱原発の中にもいろいろな考え方があり、「とりあえず」ではなく、「意思をもって何をやっていくのか」自分で決めることの重要性に気づいたそうです。

質疑応答では、大学で授業再開するときの学生の反応や、原発に関する教育の状況や課題についても質問が出て、急に夜室長にマイクが向けられるという場面もありました(汗!)

若干の休憩をはさんで、「災ボラ」の活動報告がありました。大学の避難所開設をきっかけに、3つのボランティアグループが集まって立ちあがった災ボラについては、このブログでもお伝えしたことがありますね。いまや、300人近い学生が参加して大活躍しています。報告では、「泥出し」「子どもたちの遊び支援」「足湯」など、活動の一端を映像とともに伝えてくれました。福島で何をしたらよいのか分からないと言っていた学生さんたちは、興味深く聴いてくれたようです。

質疑応答の中では、ボランティアの際の安全確保、ボランティアの継続期間、ニーズの汲み取り方、既存のボランティアグループとの関係など、いくつもの質問が出され、応援にかけつけた典夫さんも、丁寧に補足説明してくれました。また、災ボラとの連携の申し出も飛び出しました。

最後に、夜室長が「講評・まとめ」をおこないました。講評するほどえらくはありませんし、まだ始まったばかりですから、自分自身の課題認識と参加者に対する期待を話すことにしました。
まず、震災から15カ月経った現時点での課題としては、①忘却との戦い、②分断・亀裂の修復、③求められる「復興」「支援」の模索、の3つを挙げました。

①について・・・今日は、「6月11日」。以前であれば、毎月11日は、特集が組まれイベントが行われてきたが、1年も過ぎるとめっきり少なくなってきている。阪神淡路大震災の時も同様であり、忘れ去られないように常に声をあげ続けることが「被災者・被災地責任」(山中茂樹氏)である。今回のプロジェクトも、その一つとして位置づけている。私たちが外に出かけて福島を伝えることも重要だが、実際に福島に来てもらって現実を見て、それを伝えてもらうことも大切だと考えている。

②について・・・震災・原発事故によって、福島は、家庭、地域、県内、県内外に、さまざまな「分断・亀裂」が生じている。福島県から逃げる・逃げない、福島県産のものを食べる・食べない、故郷に戻る・戻らない、等々、一人ひとりがその選択を強いられている。それぞれの考え方が尊重されることが重要ではないか。

③について・・・本当の「復興」とは何か、何が求められる「支援」なのか。単純に元の生活に戻すことが復興とはいえない。たとえば、原発で働いて避難している住民にとっての「復興」とは何か、どういう「支援」が必要なのか、模索が続いている。

そのうえで、参加者には次のような期待を述べました。

今回の研修旅行では、ぜひ福島の「多様性」というものを見て感じてほしい。被害ひとつとっても、地震、津波、放射能、風評とさまざまであり、それは県内でも異なっている。また、住民の考え方も多様である。健康、命、生活、仕事、人間関係、コミュニティの何を優先させるかは人それぞれで、そこには「正解」はない。人によって言っていることが違うだろう。何が事実かもわからなくなるかもしれない。あまり「すっきり」せずに、大いに混乱して欲しい。

また、研修旅行で、「福島」の現実に触れた後は、今度は、それを普遍化した、「フクシマ」「FUKUSHIMA」の視点で捉えてほしい。ヒロシマ、ナガサキだけではなく、ミナマタ、オキナワなど、そこには、日本社会に共通する構造的な問題があるはずであり、脱原発社会を目指すのであれば、原発を止めるだけではなく、根本から変革していかなければならない。もちろん、ボランティアといった直接の支援も大切だが、社会をどう変えていくのかという視点からは、自分自身の「学び」や「専門」とのつながりでこの問題を考えてほしい。さらに、震災・原発事故は辛い経験だったが、これを一つのきっかけとして、さまざまな協働や連携が生まれており、ぜひ、「学生のネットワーク」を実現したほしい。

「研修」と銘打っているだけあって、朝から夕方まで、予定がびっちり。参加者も実行委員もさぞ疲れたことでしょう。この日は、ずっと大学の建物の中でしたが、翌12日からは、いよいよ「研修旅行」が始まります。この1週間の間で、参加者(そして実行委員)の、福島に対するイメージはどう変わるんでしょうか。何を見て何を感じ、そのことを今後どう伝えていくのでしょうか。楽しみですね。

最終日の明日16日午前9時~11時30分、福島県男女共生センター(二本松市)で、研修成果のグループ報告会が行われます。今度は正真正銘の「講評」もあります。ピタ校長、頑張ってね!

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