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ガンバロウ福大!行政の「結」

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震に端を発する東日本大震災をきっかけに、福島大学行政政策学類の教員有志でブログを開始しました。福大行政に関わる情報共有・情報発信の場として、このブログが、読者のみなさんとわたしたちの、また、みなさん同士の結節点になれば嬉しいなと考えています。一緒に手を携えて、この難局を乗り切っていきましょう。     (2012年3月26日記)

ステップ「2」はどうなっていますか?

 こんにちは。昼の震災対策室から大黒です。
 行政政策学類の震災対策室では、前期授業の開始の判断にあたっては慎重に行うべきことをずっと主張してきました。それは、学生さんが大学にいない間に、大学としてすべきことがあるはずだ、というのがその理由のひとつでした。「除染」やいざというときのための「備え」です。
 震災から半年とはいえ、まだまだやるべきことは残っていますし、そういう意味では、今、夏休み中に大学がすべきことはたくさんありそうです。
 大学が学生のためにやるべきことについて、塩谷さんが、再び学長に問いただしています。
 (なお、9月3日に内容を一部修正しました)

********
 
2011年9月2日
福島大学長 入戸野 修 殿
本学の放射能対策に対する要望及び質問について(追加)
行政政策学類教員・塩谷弘康

 8月11日付けで私が提出した「本学の放射能対策に対する要望及び質問について」に対しては、先日、辻行政政策学類長を通じて、口頭で「回答」を得たが、文書で回答されるよう求めたい(文書で回答できない場合はその理由を示していただきたい)。

 また、5つの要望のいずれについても前向きな回答がされていないが、ここでは、「金谷川キャンパスにおける放射線被ばく量低減のため、目標値を設定し行動計画を策定して着実に実行すること」に絞って、再度、要望したいと考える。

 今回、大学執行部は、線量制限については、国際放射線防護委員会(ICRP)の「ALARA(as law as reasonably achievable)の原則」に基づいている旨を回答された。
 また、8月7日のオープンキャンパス時に開催された、「福島大学安全安心な教育環境をめざす保護者の会(仮称)」と学長・役員との懇談会(以下、「保護者懇談会」)においては、「除染は必要があればやるという考え方である」と回答されている。

 そこで、この2点を踏まえて、早急に金谷川キャンパスの除染(とくに、広場とグラウンド)を実施することを重ねて強く求めるとともに、追加質問を提出する次第である。

 ICRPの線量制限の一般原則は、1950年勧告の「可能な最低レベルまで」、1958年勧告の「実行可能な限り低く」であったものが、1965年勧告の「容易に達成できる限り低く」、1977年勧告の「放射線被ばくは、社会的及び経済的要因を考慮に入れながら、合理的に達成可能な限り低く抑えるべきである」(防護の最適化、ALARAの原則)へと後退してきており、功利主義的な考え方(「費用―便益・効果分析」)を導入したことに対しては、欧州放射線リスク委員会(ECRR)などから強く批判されている。

 そのことはひとまず措くとしても、次の点を確認しておきたい。
ICRPの1977年勧告は、「行為の正当化」、「放射線防護の最適化」、「個人の線量当量の限度」を三位一体のものとして捉えており、これらの原則は、現在の福島が置かれた状況、すなわち「現存被ばく状況」について適用される、ICRP111「原子力事故又は放射線緊急事態後における長期汚染地域に居住する人々の防護に対する委員会勧告」にも継承されている。

 ICRP111勧告の中では、「放射線防護の最適化」、「個人の線量当量の限度」に関して、次の点が強調されている。

・「防護の最適化は判断によって決定される性質のものであるため、最適化プロセスの透明性が強く求められる。このプロセスで使われるすべてのデータ、パラメータ、想定条件及び値は、きわめて明快に提示され、提議されるべきである、ここでいう透明性とは、重要な情報はすべて関係者に提供されること、及び情報に基づく決定を目的として意思決定プロセスを追跡できるように記録を適切に文書に残すことを前提としている。」(33)

・「現存被ばく状況にとっての長期目標は、『通常と見なせる状況に近い、又はそれと同等のレベルまで被ばくを低減させること』(ICRP,207、第288頁)であることから、委員会は、汚染地域内に居住する人々の防護の最適化のための参考レベルは、この被ばく状況区分に対処するためにPublication103(ICRP,2007)で勧告された1~20m㏜の範囲の下方部分から選定すべきであることを勧告する。過去の経験により、長期の事故後状況における最適化プロセスを制約するために用いられる代表的な値は1m㏜/年であることが示されている。」(50)

 以下、金谷川キャンパスにおいて早急に目標値を設定して、優先順位の高いグラウンド、広場及び学生寮において除染を行うことの「必要性」について述べる。

1.政府は、原子力災害対策本部「除染に関する緊急実施基本方針」(8月26日)の中で、「長期的な目標として、現存被ばく状況にある地域おいては追加被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下となることを目標とする」、「2年後までに一般公衆の推定被ばく年間線量を約50%(子どもについては約60%)減少した状況を実現することを目指す」とした。また、文科省通知「福島県内の学校の校舎・校庭等の線量低減について」(8月26日)では、「夏季休業終了後、学校において児童生徒等が受ける線量については、原則年間1m㏜以下とし、これを達成するため、校庭・園庭の空間線量率については、毎時1μ㏜未満を目安とする」(通学日数年間200日、平均滞在時間屋内4.5時間、屋外2時間)としている。このように状況が変化する中で、大学が放射線量低減の目標値を設定せず行動計画も策定せずに済ませることは到底認められるものではない。

2.大学生のほとんどは放射能に対して感受性の高い若者であり、児童・生徒に準じて、放射線被ばくの低減化を図る必要がある。福島県内の多くの児童・生徒が放射線被ばくを回避するために県内外に避難しているが、大学生は制度上「転校」することができない。本学は、休学や他大学での単位取得について厳格に運用しているため、在学生は金谷川キャンパスで学ばざるをえない状況に置かれている。安全・安心な環境で学ぶことは学生の権利であり、大学にはそれを保障する義務がある。

3.金谷川キャンパス内での空間線量率は、8月5日時点で、グラウンドと広場のいずれもが毎時1μ㏜を超えており、7月以降はほとんど低下が見られない。福島大学放射線計測チームによれば、福島市内の放射線量は2年後でも放射線量は現在の6割程度にしかならないと予測されている。排水溝、側溝といった点や線での除染活動だけでキャンパスの放射線量を低減させることはできず、グラウンド、広場などの面的な除染活動に取り組む必要がある。

4.グラウンド(野球場、サッカー・ラグビー場)については、5月の授業開始以来、体育の授業や課外活動に供されてきた(利用時間の制限はされていない)。本来であれば、「除染をしてから利用に供する」「放射線量の低い他のグランドを確保する」「屋内でのスポーツに切り替える」などの措置をとるべきであったのに、それをしていない。今年度、体育の授業については、希望者は屋内スポーツを選択できることになっているが、屋内か屋外かを学生の自己責任において選択させるべきではない。表土除去の有効性については小中学校で実証済みであり、早急に除染に取り組む必要がある。

5.中央広場やS棟前広場は、教室や大学生協、事務室への移動の際に必ずと言っていいほど学生が通る場所であり、さまざまなイベントが開催される場所である。放射性物質が透水性ブロックに附着しているため、放射線量が比較的高いことが早くから分かっていたにもかかわらず、ベンチの利用を制限せず、学生が談笑したり弁当を食べたりする状況を放置している。中央広場については水による洗浄を行ったがその効果は限定的であり、ブロックの貼り替えといったより効果的な除染を行う必要がある。

6.3つの学生寮には、約500人の学生・院生が数年間にわたって居住している。寮生にとって金谷川キャンパスは学びの場である同時に生活の場でもあり、キャンパス内の放射線量の影響をとくに強く受ける。寮生の生活空間である学生寮及びその周辺地域については、早急に除染を行う必要がある。

7.これまでの回答によれば、グラウンドや広場での除染を進めてこなかった理由の一つは、表土除去やブロックの貼り替えに多額の費用がかかることにあると思慮される。しかし、文部科学省による「5月27日『当面の考え方』における『学校において「年間1ミリシーベルト以下」を目指す』ことについて」(7月20日)によれば、ICRPの放射線防護の考え方を学校生活に当てはめた場合には、「A.対策をとることの利益(被ばくをさけることによるリスク低減)」と「B.対策をとることの不利益(対策の結果として生じる心身の健康への影響等)を比較して、Bのほうが大きければその対策は適切とは言えないとしているだけで、費用の大きさを「対策をとることの不利益」とか「対策をとらないことを正当化する理由」とは見なしていない。グラウンドや広場の除染によって学生が被る不利益はほとんどない(工事期間中は利用を制限されるが、本来、夏季休業中にやるべきことである)。「除染に関する緊急実施方針」の中でも、「国は責任をもって除染を推進する」としているのであるから、国に対する費用負担を要求して(それができなければ東電に対する損害賠償請求を行って)、除染に取り組む必要がある。


・「放射線対応マニュアル(学生版)」(4月28日)では、福島大学における年間被ばく線量を、4.4~8.1m㏜と推定している。これは、文科省通知「福島県内の学校の校舎・校庭等の利用判断における暫定的な考え方」(4月19日)に示された、「年間20m㏜」を踏まえたものであるが、現状は大きく変化している。原子力災害対策本部「除染に関する緊急実施基本方針」及び新しい文科省通知などを踏まえた、被ばく放射線量についての執行部の考え方を示されたい。

・「保護者懇談会」において、学長は、ホットスポットの除染や学生に対する防御マニュアルの配布は、被ばく放射線量の低減化にむけての「ステップ1」であると発言しているが、「ステップ2」や「ステップ3」は存在するのか。その内容とタイムテーブルを示されたい。

・グラウンドについては、その利用方法から、地上高1mではなく地表面で空間線量を計測すべきではないか。また、土ぼこりなどを吸い込む可能性が高いことを考えると、内部被ばくの影響を考慮しなければならない。グラウンドの土壌の放射線量と核種を明らかにされたい(福島市内ではストロンチウムも検出されているが、金谷川キャンパスではどうか)。

・オープンキャンパスの際には、キャンパスツアーの出発点を教室内に変更するなど、高校生の放射線被ばくに対して配慮を行った。10月末には大学祭が開かれ、広場には多数の模擬店が出店されイベントも行われるが、除染など対策をとらないのか。

・執行部は、ALARAの原則を適用するにあたって、どのような社会的及び経済的要因を考慮に入れて、費用―便益・効果分析を行ったのか、その意思決定過程を明らかにされたい。その中で、「除染の必要性」と「除染にかかる費用」との関係についてどのように位置づけているのか。

・除染の費用負担について、文科省に対して、いつどのような要求を行い、どのような回答・反応が得られたのか。


以 上

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  • 2011/09/05(月) 12:20:48 |
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