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ガンバロウ福大!行政の「結」

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震に端を発する東日本大震災をきっかけに、福島大学行政政策学類の教員有志でブログを開始しました。福大行政に関わる情報共有・情報発信の場として、このブログが、読者のみなさんとわたしたちの、また、みなさん同士の結節点になれば嬉しいなと考えています。一緒に手を携えて、この難局を乗り切っていきましょう。     (2012年3月26日記)

顔の見える大学―電力使用制限下の被災地で

 こんばんは。夜の震災対策室より「ぴた」です。
 みなさんお久しぶりです。風邪をこじらせてしまいました。鼻声だというのに、いろんなところでおしゃべりし、異常なほどの口のなめらかさに、おかしな声がいつまでも治りません(苦笑)。
 でも、先日の京都の町屋風ゲストハウスで、「おや」に風邪をうつしたので、完治まであと一歩(笑)…がんばります!

****

 さて、今日は、「顔の見える大学」の話です。

 本日の朝日新聞(7月1日)1面には、「電力制限令 きょうから」という記事が載っています。

 「電力危機を避けるため、政府は1日から、電気事業法27条に基づく『電力使用制限令』を、東京電力と東北電力の管内で発動する」

 とあります。さらに、

 「大規模な工場や商業施設、オフィスビルについて、最大電力を昨夏より15%削減するよう求める強制措置だ」、とあります。

 そう、強制措置。単なる「節電」ではありません、「電力制限」です。

 おどろくなかれ…
 なんと、福島大学はこの強制措置の対象、すなわち「大規模な工場や商業施設、オフィスビル」に入っているのです!

 福島大学は、「経済産業大臣が指定する地域において、またその指定する期間・時間の契約電力が500キロワット以上となる」、という基準に当てはまるということになっています。

 確かに、福島大学は、1500キロワットの契約電力があります。
 その規定を機械的に当てはめたのでしょう。
 しかし、大学は工場ではなく、何千人もの人間が生活しています。また、大学は、一日に数時間程度立ち寄るショッピングセンターでもなく、多くの人が長い時間を過ごす場所です。経済産業省の「大学」の位置づけは、そういう認識に欠けていると言わざるをえません。

 さて、1500キロワットの15%減は1275ワットです。

 しかし、昨年の猛暑の夏、大学は契約電力を超えて、7月には1700キロワットほどの最大電力を使っていました。
 ということは、1275キロワットに制限するためには、昨年比25%減ということになります。

 こうして、7月1日から9月9日までの間(土日祝日を除く)午前9時から午後8時まで、1時間当たりの使用電力の厳しい上限値が定められました。故意に制限量を超えた場合には、百万円の罰金です。

 ちょっと待てよ!

 福島市は被災地、原子力発電所の事故で、避難区域となった地域以外では最も放射線量の高い地域です。
 当然のことながら、窓をあけるのに、多くの人がいまだ躊躇を感じています。

 大学は弁明書を出しました。行政手続法という法律にのっとって行われたものです(6月1日付公式文書が2日に大学に届き、弁明書の提出期限は10日までという、ひどいものです)。

 いわく、

 「原子力発電所事故による放射性物質の拡散により、放射性濃度が平常値よりも40倍ほど高い数値となっている。このような状況のもとで、学生の授業や教職員の業務を行うにあたり、窓の開閉等で室内温度の調節をはかるのは、砂埃等に交じった放射性物質が室内に入る恐れがあることを考慮すると厳しい」

 まさにその通り。

 それに対する資源エネルギー庁の回答は…

 「大変みたいだけど、がんばってね」

 というものです(いや、そうは書いていませんが…「貴大学の厳しい状況は十分認識しておりますが、上記のような制度としていることから、当初…のとおり、…通知を送付します。」という文章とともに、経済産業大臣の通知書1275キロワットが届きました)。

 原子力災害だってこと、分かってる?

 7月1日の福島民友新聞には、

 「この制限令の対象となる事業所数は東北電力管内は約3700。このうち、鉄道や病院、震災の被災地域の公共施設など約30分野には例外を設定した。小売業やサービス業の大半は規制緩和の対象になっていない」、とある。

 大学は、「被災地域の公共施設」ではなく「小売業やサービス業」の範疇に入っているようだ(これまで経済産業省が、「大学」をどう位置づけてきたかが良く分かります)。
 いや、そもそも、福島市は「震災の被災地域」ではない、との認識なのかもしれません。
 確かに福島市は避難地域に指定されていないし。窓を開けても何ら問題ない地域、ということなのかも…

 福島大学も、政府のこの命令に従い対策を立て、「節電行動基本方針」なるものを作った(本当は「節電」じゃないんだけどね)。
 まず第一に、「教育・研究等の活動に支障が生じない範囲で」との大切な限定つきで、

「外気を利用し空調を停止する等の使用抑制」

 が勧められています。

 あれ、「弁明書」では、「砂埃等に交じった放射性物質が室内に入る恐れ」、って書いてなかったっけ?
 確かに、「福大の原子力問題の専門家といえばこの人」のはずの、清水副学長も、

 「大学としては、窓を閉めておくことを推奨してはいません」、といっていた(さすが…)。

 福島では、窓を閉め切った部屋で小中学校、高校がこの暑いなか授業をしています。
 信頼を失ったいわゆる「専門家」が推奨しようがしまいが、放射線汚染を恐れ、窓を開けることには躊躇・不安を感じる人は大勢います。また自分は躊躇がなくても、若い女性や子供たちがいるなかでは、その気持ちや健康のことを考えると(つまり、人間的な「配慮」をしようとすると)、簡単に窓を開けることはできません。
 そんななかでの唯一の可能性が、クーラーです。

 今のところ、小中高校にクーラーを設置することも進んでいません。
 クーラー設置が進んだ大学でも(政府がクーラー用に予算を準備してくれたわけではないですが)、電力制限のなか、今後どの程度利用できるのか、不透明なままです。

 そんななか、福島大学も猛暑の7月に突入しました。

 関東の大学では、夏の計画停電に備えて、7月上旬までの土曜日も授業日程に組み込むなどの工夫で、7月上旬には前期日程を終える大学も多いようです。他方、放射線値が(たとえば)千葉と比較するとかなり高い福島市にある福島大学は、5月に授業開始となった埋め合わせのために、9月末まで授業日程が組まれています(もちろん10月からは後期日程が始まります)。放射線値が高いところで、窓を開けることもできず、クーラーも満足に使えないまま夏を通して授業がなされる、という可能性が強まっています。(相対的に)放射線値が低く窓も開けられる首都圏の大学が7月上旬に授業を終えるというのに、放射線値が高い福島市にある福島大学が、電力使用制限のなか窓を閉め切ったまま9月まで授業だなんて…何かがおかしくないですか?

 学長には、このことを広く社会に訴えてほしいです。「顔の見える大学」を目指しているのなら。

 その学長は今、1000人の笑顔が写った写真をとって世界に発信しよう、と意気込んでいるようです。
 しかし、その笑顔の裏には、窓を開けるべきかどうかといった戸惑いや、放射能汚染や将来の健康に対する不安が隠れています。
 学長が進めている「1000人の笑顔プロジェクト」の写真には、学生や教職員の直面する厳しい現実も、きちんと写るのでしょうか?
  

コメント

笑顔は大切です

笑顔がない生活は活力に欠けます。
笑顔のない毎日を過ごしているなら、そこにしあわせはありません。

しかし、それよりも先にやらなきゃいけないこと、あるんじゃないですかねぇ。

節電対象になったこと、知りませんでした。
恥ずかしながら、私は地方自治体が東京電力の株式を保有しているのも知りませんでした。
いろんなことを知るうちに、見えてくるものがあります。
学長には優先順位をつけた上で、学生や教職員の安全を守って欲しいものですね。苦笑

センスマ

1000人の笑顔って、センスマでもネットでヒットしますね。
パクリですか。
今、福島県民に笑顔を見せる余裕は無いはずなんですけど。
大学は安全ですよ~、福大、皆、元気だよ~、
人を集めるPRなんでしょうね。大学って除染してるんですか?

  • 2011/07/02(土) 17:01:54 |
  • URL |
  • ^^; #mQop/nM.
  • [ 編集 ]

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  • 2011/07/03(日) 00:29:26 |
  • |
  • #
  • [ 編集 ]

学生は逃げたほうが

福島市西部郊外でも空間線量が2マイクロシーベルト時を超えているところも多いのです。
学生さんは早々に福島大学から移籍しちゃった方がいいと思います。

  • 2011/07/03(日) 00:31:16 |
  • URL |
  • losttechnology #-
  • [ 編集 ]

健康第一

枝野のようなフルアーマーを着て防護マスクをして写ってください。学長は学生の体のことなど考えてません。親の立場として意見を述べました。

  • 2011/07/03(日) 07:31:28 |
  • URL |
  • ひよこ #mQop/nM.
  • [ 編集 ]

Re: コメントありがとうございます

>  今の福島では、多くの人がいろんな悩みや迷いを抱えながら生活しています。笑顔の裏には不安があります(不安の裏には笑顔があるでもかまいませんが…)、避難したほうがいいと感じたと思えば、その直後には、そういうわけにはいかない、という思いが生まれます(福島で頑張ろうという思いの直後には避難すべきではないかという危機感が生まれる、という順序でももちろんかまいません)。被ばくは危険だとわかっていても、他方で、今の生活環境を断ち切ってしまうわけにはいかない、という現実も忘れられません。人それぞれ、いろんな思いが交錯して、日々、あるいは時々刻々考えが変わり、はっきりとした明確な決断ができないまま悩みが続き、そのことに、また落ち込んだりします。
>  この不安定でストレスに満ちた私たちの状況の対極にあるのが、「20ミリシーベルト基準」です。「それ以下なら悩みも迷いも持つ必要のない」基準値。そうした、「はっきりとした明確な決断」=基準値からすれば、「悩んでいるほうがおかしい」ということになり、その基準値から、次々と生活指針が引き出されてきます。たとえば、「泳いでも大丈夫」「水を飲んでも野菜を食べても大丈夫」となり、さらには、「他と同じように福島でも電力制限をしてもよい」(by 経済産業大臣)ということになり、それに連なる形で、「窓を開けないということを推奨しているわけではありません」(by 清水副学長)、という発言になっていくわけです。
>  こうした論理展開は、今の福島に生活する市民の持つ悩みや迷いとは、無縁のものです。
>  「可能なかぎり安全な生活を目指して、できうる限りの対策をとる」、「コミュニティを守りながら、より安全で安定的な生活を維持するにはどういう政策をとるべきか」、といった発想は、市民が直感的に感じる不安や迷いから出発しない限り、決して生まれてこないと思うのです。 
>  「笑顔1000人プロジェクト」への違和感は、このアイデアに、日々感じる「悩み」や「迷い」が感じられない、というところにあります。
>  コメントをくださるみなさんには、私たちの迷いが伝わっているでしょうか?

  • 2011/07/06(水) 14:32:20 |
  • URL |
  • ぴた #-
  • [ 編集 ]

センスマ 2

今の僕だったらですが、笑顔は作れません。

線量の高い地域に住んでいる知り合いの小さな子供は、体調不良
を起こしています。国の指定区域になっていない場所での出来事
です。
大人と同じ暫定基準値で暮らし、食物が流通しています。

笑顔を作る余裕などまったくないです。
誰のための笑顔なのか。

  • 2011/07/07(木) 00:15:47 |
  • URL |
  • ^^; #qbIq4rIg
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