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ガンバロウ福大!行政の「結」

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震に端を発する東日本大震災をきっかけに、福島大学行政政策学類の教員有志でブログを開始しました。福大行政に関わる情報共有・情報発信の場として、このブログが、読者のみなさんとわたしたちの、また、みなさん同士の結節点になれば嬉しいなと考えています。一緒に手を携えて、この難局を乗り切っていきましょう。     (2012年3月26日記)

オハイオ州ウースターからこんにちは

昼の震災対策室からこんにちは、しみず@ブログ庶務担当です。


ひさびさのリレー日記は、アメリカから岩崎さんの登場です。

昨年度から今年度にかけ在外研究に出られている岩崎さんは、アメリカ合衆国のオハイオ州ウースターというところで生活されているのですが、遠くウースターの地からブログに記事を寄稿してくださいました。


それでは、岩崎さん、よろしくお願いします。


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オハイオ州ウースターからこんにちは

<私が住んでいる町について>

お久しぶりです。私は、昨年の10月より在外研究のためアメリカ・オハイオ州のWoosterという小さな町で暮らしています。ちょっと車で走ると牧場やコーン畑が広がるのどかな田舎町です。

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[車5分でもうこんな感じ]

私は、ここで有機農業やローカル・フードの研究をしたいと思いやってきました。「アメリカ農業」というと、大手企業の参入による“巨大アグリビジネス”というイメージが強くありますが、一方で、最近は、「ローカル・フード、ローカル・ファーム」というスローガンのもと、ファーマーズマーケットやアメリカ版産消提携運動であるCSA(Community Supported Agriculture)なども活発になっています。

ここWoosterでは、毎年6月から9月までの土曜日、ダウンタウンの広場でファーマーズマーケットが開かれます。全部で15ブースほどの小さなマーケットですが、なかにはアーミッシュのブースもあります。アーミッシュのお店に並ぶジャムやケーキ、蜂蜜は大人気です。オハイオ州は、隣のペンシルバニア州に次いでアーミッシュの人々が多く暮らしていて、町中でもバギー(馬車)をよく見かけます。

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[車の中から撮った、前をゆくバギーの後ろ姿(?)アーミッシュの人たちは写真を嫌うので正面からはなかなか撮れません。赤い△マークは、事故防止のための反射板だそうです。]

ところで、日本のファーマーズマーケットといえば、それこそ大きな駐車場のある常設型の立派なお店であることが多いですが、こちらでは常設型のお店はそれほど多くなく、テントによる青空市が普通です。CSAにしても取り組んでいるのはまだごく一部の人たちで、多くの農家にとっては、いったいCSAってどんなもので、どんなメリットがあるの、というような勉強会が行われているような段階です。

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[Woosterのファーマーズマーケット]

私がいま住んでいるのは、ダウンタウンの真ん中にあるアパートです。日本の地方都市と同じように、ここでも市街地の空洞化が問題になっていて、あちこちに空き店舗がみられます。それを解消する一方策として地元の不動産屋さんが町中の店舗のロフトをアパートに改造して提供しています。私はその1室を借りています。日常の買い物は、郊外の巨大スーパーマーケットに車で行くのが普通なのですが、町中にも小さなスーパーやかわいいカフェがあるので、あまり車に乗らなくとも暮らしていけます。

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[この大きな建物も空き店舗です]

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[アパートの建物 1階は紙用品のお店で、私の部屋は2.3階のロフト部分です。]


<Local Roots Market!>

さて、このWoosterのダウンタウンに、Local Roots Marketという常設の直売所とカフェが昨年の春にオープンし、町のひとびとのよりどころになっています。私がこの田舎町に住むことを選んだ大きな理由の一つは、このマーケットの存在ゆえでした。このお店は協同組合方式で運営されており(日本の生協みたいなものですね)、元々空き店舗だったのをメンバーが手作りで改築したものです。現在の組合員数は、消費者が約500名、生産者が160名。人口2万5千人あまりの町にしては驚異的な数字です。私もアメリカに到着してすぐ組合に加入しました。

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[Local Rootsの店内]

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[私の組合員証 年会費は50ドル]

 このお店では、毎週末ごとにいろいろな楽しいイベントを開催しています。お客さんたちは、誰それさんがつくった新鮮なオーガニックの野菜がほしい、大手スーパーでは手に入りにくいgrass-fed beefがほしい、といった目当てをもってやってくるのはもちろんですが、町の人たちとの語らいや交流も大きな楽しみの一つになっているようです。今年の冬に、地元の大学生がお客さんへのアンケート調査をしていてそのお手伝いをしたところ、お店に来る理由として、“sense of community”を味わいたいから、と答えるお客さんが多かったのが印象的でした。

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[ダンス大会で]

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[ローカルな食材を使った料理コンテスト]


<3・11について>

そんなこんなで、不自由な言葉の壁にぶつかりながらもそれなりに充実した日々を送っていましたが、ある日突然、3・11がやってきました。

3・11の早朝、同じ研究所にいる日本人の方からの電話で飛び起きました。「地震と津波で日本が大変なことになっているらしい。」驚いてCNNをつけたら、日本の地震のニュースが延々と流れていました。Sendai、Natori、Ishinomaki・・・、津波の衝撃的な映像とともによく知っている地名が聞こえてきて、動くこともできずにずっとテレビの前に座り込んでいたら、次第にFukushima-Daiichi という単語が頻発するようになりました。なんで、よりによって、福島なのか!悪夢としか思えませんでした。

この町のローカル新聞Dairy Recordでも、しばらくは日本の地震、原発のニュースが一面トップでした。

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[3月14日Dairy Record紙 一面]

地震のニュースを知った周りの人たちは皆、日本のことを心配してくれました。日本人だとわかると、あなたの家族は、友達は大丈夫だったのか?と優しく声をかけてくれました。同じラボの中国人の留学生は、自分も四川大地震に遭った経験を話してくれ、肩を抱いて泣いてくれました。

実は、白状すると、日本がこんな大きな被害にあったのは自業自得だ、いい気味だ、と言われるのではないかと心のどこかで恐れていました。金持ちの豊かな国日本がそれまで世界からどのように見られていたのか想像すると、きっと後ろ向きの反応が出るに違いないと覚悟していたのですが、しかし、私のこのネガティブな予想は見事に覆されました。

また、この町では昨年の秋に大きな竜巻に襲われ、町内の施設の多くがめちゃくちゃに壊されたという経験があり、それもあってのことか、皆さん自分たちが遭遇した被害や恐怖と重ね合わせてとても同情し、心配してくれました。

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[写真 昨年秋のトルネードでつぶれたグリーンハウス]

これを機にアメリカ国内でも原発の安全性について大きな議論が起こりました。汚染水放出のニュースが流れたときは、隣のラボの人が暗い顔をして ”Bad news! ” と新聞を持って入ってきました。全世界に迷惑をかけていることを痛感しました。

そのうち、日本から屋内退避や計画的避難地域等々のニュースが入ってくるようになり、飯舘村や葛尾村、浪江町津島、川内村等々の見慣れた景色や人々の映像が目に入るようになってきました。とても現実のこととは思えませんでしたし、いまでも信じられません。

実はこの地帯の国道399号線沿線には直売所や農家民宿がたくさんできていて、このネットワークをつくろうと数年前に「ルート399 いなかみち直売所マップ」作成プロジェクトを立ち上げ、私も学生さんと一緒にお手伝いをしていました。

あれだけ土作りに命を燃やしていた農家の皆さん、地域の活性化に力を尽くしていた住民の方たちはいったいどうなってしまったのだろう。なすすべもなく鬱々とした日々を過ごしていました。

しかし、このブログの数日前の記事で、佐野ハツノさんの講演の話が紹介されているのを読んで、さすがハツノさん、少し元気をもらうことができました。

そうか、「5合目」なんだ。


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さてさて、ここWoosterもすっかり夏です。いよいよ先週の土曜日から今年のファーマーズマーケットが開幕しました。長く厳しい冬が終わり、ようやく夏がやってきた!この町の人にとってファーマーズマーケットは、そんな合図にもなっているようです。

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[写真 いよいよ今年も開幕]

私のアメリカでの暮らしもあとわずかになりました。3・11に遭遇しなかった私は、ほんとうに「浦島太郎」になってしまいましたし、また、あれだけの非常時に皆さんが直面した苦しみを思うと、自分がその場にいなかったこと、何もできなかったことをとても辛く、心苦しく思っています。

しかしいまは、残された日々を大切に過ごし、そして、かけがえのないhometown福島に帰って、きれいな福島を取り戻すことに少しでも関わっていけたらと思っています。

最後に、今一番の心配事のひとつは、帰国後に待っている研究室の復旧作業です。他の先生方の研究室がすでにきれいに片付いている一方で、一人黙々と片付けている姿が目に浮かび、思わずゼミの卒業生に愚痴メールを送ったところ、地震以前の私の研究室の惨状を知っているその卒業生は「これは大掃除のいい機会だと前向きにとらえましょう!復旧ではなく復興の気持ちで!」と励ましのメールをくれました・・・頑張りたいと思います。

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[写真 研究室の現状(こわい・・・)]

それでは、またお目にかかれる日まで皆さんどうぞお元気で。

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