ガンバロウ福大!行政の「結」

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震に端を発する東日本大震災をきっかけに、福島大学行政政策学類の教員有志でブログを開始しました。福大行政に関わる情報共有・情報発信の場として、このブログが、読者のみなさんとわたしたちの、また、みなさん同士の結節点になれば嬉しいなと考えています。一緒に手を携えて、この難局を乗り切っていきましょう。     (2012年3月26日記)

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震災対策室の取り組み⑦―キャンパス内放射線量の測定

 震災対策室です。
 いよいよ12日から授業が始まりました。
行政政策学類では最初のゼミを、地震と放射能対応マニュアルの解説や緊急時連絡学生カードの作成の時間に充てているので(→詳しくは震災対策室の取り組み⑥)、例年とは違った緊張感をもってのスタートになりました。

 やはり最大の関心事は放射線です。

 私たちは、自分たちが長い時間を過ごし、授業ばかりではなく生活する場でもあるキャンパス内の放射線量を可能な限り減らし、学生や教職員の被ばく量を下げるために、できることならなんでもやらなければ、と考えています。
 たしかに、政府に施策を求めることも大事ですし、大学執行部に要望を出して実現を迫ることも重要です。しかし、それに加えて、自分たちでできることからやるという姿勢も大切ではないでしょうか。自分たちの自身の活動のなかから、自分たちが要望すべきことや、大学や政府がより大がかりに取り組むべきことが、具体的に見えてくるかもしれません。

 そのための第一歩として、キャンパス内の放射線量を自分たちの手で測定してみることにしました。

 大学キャンパス内のいくつかの地点の放射線測定結果は大学のHP上で公表されていますが、やはりこういうことは、直接影響を受ける自分たち自身の手でやってみることが必要です。
 また、私たち自身が行う測定は、全国的なデータとの比較が目的ではありません。むしろ、自分たちの身を守り、また今後どのような対策をとればいいのかを考えるための出発点として、「いま自分たちがいるところはどうなのか」を知ることが目的です。それゆえ、私たちの日々の行動パターンを具体的に想定しながら、それぞれの場面でどの程度の放射線が測定されるのかを知ることが重要になります。

 ところが、残念なことに、大学には自前の線量計がなく、今でも、県や他大学から線量計を借りて使っている状況です。おまけに線量計の入手が困難で、線量の比較的高い福島市内の大学ですら自前の線量計を手配できないという状況に、震災対策室のメンバーは戸惑うばかりでした。
 このたび、貴重な線量計をお借りして、ようやく自分たちでキャンパス内の放射線を測定することができましたので、その結果をまずはご報告したいと思います。

 放射線測定に先立ち、震災対策室では、共生システム理工学類で放射線測定を実施されている難波謙二先生(環境微生物学、社会地質学)をお招きして、キャンパス内の放射線の現状をうかがうとともに、線量計による測定方法のレクチャーを受けました。

nanbasensei.jpg
(いつになく真剣な顔触れのメンバーたち)。

 難波先生のお話によれば、福島第一原発で爆発が起き、放射線物質を含んだ空気の塊が風にのって運ばれ、雨ともに放射線物質が地上に落ちてきたそうです。最初はキャンパス内の放射線量は、どこもほぼ同じだったと推測されますが、その後の雨や風、そして生物の作用によって、放射線物質が徐々に「移行」し、場所によって放射線量に違いが出るようになってきている、とのことでした。

 これまでの測定によれば、側溝や大きな木の下、芝生・草むら・コケなど、雨が溜まりやすいところでは放射線値が高く、逆に、雨によって塵や埃が洗い流されてしまうコンクリート面やアスファルト面では、値が低くなっているとのこと。また、現在の放射線は地上からの影響が大きいので、地表面に近づくほど放射線量は高くなる、という一般的傾向があるとのことでした。

 また、難波先生によれば、すでに測定しているところについては、ある程度の傾向がつかめているということで、今後は、一般的に各所の放射線量を一律に測って公表する作業に加えて、具体的な「学生の行動パターン」に照らし合わせて放射線量を測定し、必要に応じて立ち入り禁止等の規制をかける、あるいは放射線値を下げるための対策を実施していく必要があるのではないか、とのことでした。

 「犬を散歩させても影響はないか?」「町内会の側溝の掃除は大丈夫か?」等々、公私にわたる質問攻めにあった難波先生でしたが、一つずつ丁寧に回答していただき、震災対策室一同、感服いたしました。

 その後、行政政策学類長室と行政政策学類棟前で測定のレクチャーを受けました。

nanbasensei2.jpg

 基本的には、地表から1メートル(だいたい腰の位置)で測定します。まわりに人がいるとそれだけで放射線を遮蔽してしまうので、一人が測り、一人が記録をつけるようにしているとのことです。線量計の針やデジタルの数字は、微妙に動き、安定するまでは少し時間がかかります。理工の測定チームでは、GPSで測定地点を特定するとともに、ストップウォッチを使いながら、測定を安定させるために2~3分、その後30秒ごとに5回測っているとのことでした。測定にも地道な努力が必要なんですね。

 難波先生のレクチャーを受けて測定をしたくてうずうずしていたところに、いまや保育園の放射線測定の鬼となった、「メジャーマン」こと中川さんが、線量計を持ち込んでくれました。そこで、急きょ、中川さんと夜室長の2人で、学生が行きそうなところを何箇所か測定してみることにしました。

 線量計はALOKA社のTGS-121。 測定結果は以下の通りです(単位は、マイクロシーベルト毎時)。〔アナログ表示なので、3マイクロシーベルトを超えると小数点以下はアバウトな数字になります。また、多くの地点を測ってどのような傾向があるか見ることを優先させたので、1ヵ所の測定は1~2分程度で済ませています。〕

□ 行政政策学類棟及びその周辺

○ 2階学生談話室

入口付近  1m 0.3
窓側    1m 0.4
中央カーペット 1cm 0.2

○ 2階自動ドア入り口(西側)

屋内    1m 0.5
屋外(屋根あり)1m 0.6

○ ゼミ室・合同研究室

・3階302演習室(東側) 中央椅子面  0.3
・3階第二視聴覚室(中央)中央椅子面 0.3
・8階合同研究室(西側)中央1m 0.3
・6階合同研究室(西側)中央1m 0.3
・1階112演習室(北側)中央1m 0.3、窓側1m 0.6
・2階地域連携課前 カーペット1cm 0.2

○ 正面玄関(東側)  

・階段上(ひさしあり) 1m 0.8
・階段中央(ひさしなし)1m 1.5
・階段下(ひさしなし) 1m 1.8~2.0
・駐車場側溝  1cm 5

○ ぶどう棚

・プランター 1cm 4
・ベンチ 
1m   2.3~2.4
椅子面  2.6
ベンチ下地表 1cm 2.7
ベンチ脇の側溝上 1cm 4

□ S棟及びその周辺

○ S棟内

・1階学生課前(南側)1m 0.4
・2階教務課前(南側)1m 0.3~0.4
・3階ホール(南側) 1m 0.2~0.3
・1階ホール(北側) 1m 0.3
・4階ホール(北側) 1m 0.2
・S37教室(東側)
中央椅子面  0.4
窓側椅子面  0.5
・S35教室(西側)
中央椅子面  0.3~0.4
窓側椅子面  0.4  

○ S棟-経済棟渡り廊下(開放) 

内側 1m 0.8
外側 1m 1.6

○ S棟前広場

・「芽」像附近
1m (ブロック)2.4
1cm(ブロック)4
1cm(植え込み)3
・階段
1cm(石階段) 2.4
1cm(側溝中) 3.5
・ベンチ 椅子面 3

□ 大学生協

・購買部前
ひさしあり 1m 0.6
ひさしなし 1m 1.6
ベンチ椅子面  2
樹木根元 1cm 4
・生協食堂
中央椅子面 0.4
南側窓側 1m  0.8
東側窓側 1m 1.2

 以上の測定結果から、次のことが読み取れるとのではないかと思います(あくまでも推測なのでご了承ください)。

・屋外(何もないところだと1.6程度)と屋内(部屋の中心部で0.3~0.4)でははっきりとした差が出ました。屋外でもひさしや屋根がかかっているところは、0.6~0.8くらいなので、むしろ屋内に近い値です。直接、雨が吹き込んでおらず、直下の放射線物質が少ないからかもしれません。

・屋内ですが、コンクリートの建物内は、だいたい0.2~0.4程度で安定しています。地上からの高さによる影響はほとんど見られません。むしろ、部屋の窓際か窓から離れているかによって違いがでました。放射線に関しては「窓際族」でないほうがいいようです。

・屋外では、地表面に近いほど、線量値が上がりました。とくに植え込みや側溝の値は高くなっています(落ち葉や泥を片づければ値は下がると考えられます)。ベンチでのんびりランチというわけにはいかないようですね。とくに、お弁当のおかずを落としたときの「3秒ルール」は厳禁です。

・気になったのは、S棟前広場です。透水性のブロックが敷き詰められていますが、1mの高さでも2.4という高めの数値がでています。ブロックの中や間に留まっているのかもしれません。

 短い時間でしたが、ざっと測定してみるだけでもいろいろなことが見えてきました。放射線は見えないだけに、「可視化」していくことが大切だと実感しました。

 次第に気温が上がってきており、ゼミ室や研究室にも新鮮な空気を取り入れたいところですが、

→換気扇を回したり窓を開けたりしても大丈夫なのか
→水で洗い流したらどの程度の効果がでるか
→学生のみなさんが住んでいる木造アパート内の線量はどうか

なども気になります。

 間もなく、専用の線量計が入手できる予定ですので、震災対策室では、よりきめ細かく測定を進めながら、安全・安心を確保するための行動指針をたてるとともに、放射線量と個人の被ばく量を減らすための手立てを考えていきたいと思います。

 今後も報告を続けます。

コメント

窓の開閉

KEKの野尻美保子さんが、この点疑問に思っておられたので、実験してみました。
郡山で同種のことをやられた方の報告などもあわせて、野尻さんがまとめられていますので、ご参考まで。ただ、周囲の状況などによって、結果は変わってくると思います。
http://togetter.com/li/136231

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