FC2ブログ

ガンバロウ福大!行政の「結」

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震に端を発する東日本大震災をきっかけに、福島大学行政政策学類の教員有志でブログを開始しました。福大行政に関わる情報共有・情報発信の場として、このブログが、読者のみなさんとわたしたちの、また、みなさん同士の結節点になれば嬉しいなと考えています。一緒に手を携えて、この難局を乗り切っていきましょう。     (2012年3月26日記)

連邦放射線防護庁(ドイツ)でホールボディカウンターを受けてきました!

ぴたです。こんばんは。 
長らく仕事を投げ出して福島を留守にしていたので、その分忙しくなっている夜室長の目を恐れています。
夜室長は最近メガネを変えたので(長い間壊れてテープで補強していましたね…笑)、前より目つきが怖いような…気がしています。
ごめんよ、夜室長...
ぴたはどこにいっていたかって?

そう、ぴたは、3月24日から1週間、飯舘村の飯舘中学校の生徒たちのドイツ研修旅行に同行してきました。未来を担う子供たちを海外に派遣し、若い新鮮な感性で未来を考え、作っていくために、多くのことを吸収してきてもらおう、という飯舘村「未来への翼」事業の第二弾になります。昨年の夏に引き続き、今回も19名の飯舘中学校の生徒さんたちがドイツに行ってくれました。

今回の研修旅行には、僕のほかに大学から、学生さん1人に同行してもらいました。

年齢の近い「おにいちゃん」として中学生に接してもらうことで、中学生にいろんな気づきのきっかけを提供してもらおうという主旨からです。また、高校に進学する中学3年生の参加者も多い中、「大学生って楽しいよ!」、という気持ちをもってもらおう、という意図も込められています。
僕のゼミの佐原くんが、今回のおにいちゃんです。充実した研修内容に加え、中学生たちにも慕われ、またドイツ人女性からメールアドレスを聞かれるなど、佐原君自身もドイツ研修旅行で有意義な時間を過ごせたのではないでしょうか。佐原君には近く、この研修旅行について報告してもらおうと思っています。こちらもお楽しみに。

さて、中学生の帰国後僕は一人でベルリンに行き、義援金を寄せてくれた団体などにあいさつ回りをしたほか、○○をやったり、○○○にもいきましたし、○○○○なこともありました(部外秘)。楽しかったです!

いろんなことをやりましたが、その中でみなさんにご報告できるベルリン行きの目的があります。
それは、ドイツ連邦放射線防護庁(Bundesamt fuer Strahlenschutz, BfS)でホールボディーカウンター検査を受けてくることでした。ホールボディーカウンターは、内部被ばく量を測ることができる唯一の検査として、すでにみなさんご存知のことでしょう。

ベルリンへの移動後、さっそくHPに掲載されている、放射線防護庁の代表アドレスにメールを送りました。自分が福島で仕事をしていること、仕事は極端に忙しくなっているが、福島で今まで通り生活し食事もこれまでのようにとっていること、運動不足で5キロ近く太ってしまったこと、日本の放射線に関する公的機関の多くが信用を失っていること、などを書いてメールしたところ、さっそく当日に返信があり、あっという間に検査の日程が決まりました。
外国人であろうと、旅行者であろうと、放射線防護庁が公的機関としての役割をきちんと果たしていることがよくわかります。
全国各地に放射線防護庁の検査施設はあるのですが、今回は、ベルリン・カールスホルストにある検査施設で検査を受けることになりました。

カールスホルストは、東ベルリン郊外、S-バーンという都市内近郊鉄道で中央駅から20分程度の場所で、第二次世界大戦の降伏文書が調印された場所として有名です。検査の後、「ドイツ-ロシア カールスホルスト博物館」にも行ってきました!

berlinkarlshorst.jpg
<1945年5月、降伏文書調印の部屋>

カールスホルストは、ぴたにとっても思い出の場所...ドイツ人パートナーSの家があり、しばらく一緒に過ごした場所です(有名ではありません)。10年以上前の失恋の場所を、放射能検査のために再び訪れることになるとは、思いもしませんでした。

bahnhof-karlshorst.jpg
<Sバーンの駅…いかにもベルリンの駅!という感じですね>

さて、11時の約束にあわせて連邦放射線防護庁につくと、雨のなか、検査を担当してくれるブローゼさん(Dr.Brose)が直接迎えにきてくださいました。

bundesamt.jpg
<連邦放射線防護庁と書いてありますね>

建物内部や検査機器の写真をとってはいけないとのことでしたので、残念ながら、検査室や検査用の機械についての写真を掲載することはできません。

strahlenschutz.jpg
<検査機器のある建物、古い建物を取り壊し、新しくなったそうです>

まず受付では、検査にかんする詳細な説明を受け、また自分が何者でどこに住んでいて、なぜ検査が必要なのかについてのアンケートに答えた上で、同意書にサインをします。
ブローゼさんによれば、福島での事故の後、これまで、カールスホルストの検査場では約90名ほどが検査を受け、そのうち7割が日本から帰国したドイツ人だったそうです。日本からは3割程度ということですから20~30名程度ということになるでしょうか。

検査内容の説明と、同意書へのサインの後は、検査室に入るための準備です。
きれいに洗濯された検査着に着替え、身長や体重などの測定です。
アンケートには適当に書いていた体重でしたが…測定結果は思っていた以上にありました。
一人で驚いて、アンケートに書いた体重との違いをしどろもどろに弁解していると…
「みなさん、そうおっしゃるんですよね~」
との声が…ブローゼさん、意外と意地悪ですか(笑)。
その後は、手や頭髪などが放射性物質で汚染されていないか(内部検査の障害にならないようにするため)の検査です。もちろん汚染はありませんでした。
以上の事前準備を終えて、いよいよ検査室へ入ります。

検査室は、コンクリートの厚い壁で覆われています。内部に入ると、その中にまた鋼鉄製の大きな部屋があり、そのなかにホールボディーカウンターが設置されています。コンクリートで覆われた部屋と鋼鉄製の部屋の間には、分析機器やコンピューターが並んでいます。なんとなく、映画で見る宇宙船の操舵室のようです。

ホールボディカウンターが設置されている部屋の鋼鉄ですが、ブローゼさんの説明によると、この鋼鉄は、1950-60年代に大気圏内核実験が行われる以前に建造され、その後長らく海に沈没していた巨大船舶を引き上げ、その一部を使ったものとのことで、この鋼鉄で閉ざされた部屋は、ほぼ外部からの放射線を排除することができる、という話でした。
福島でホールボディーカウンターを使う場合に、「バックグラウンドが高すぎる」、というようなことがよく言われますが、検査の正確性を期すために、過去の核実験の影響を避け沈没船まで引き上げて使うという徹底した方針を取っているようです。ドイツ…すごいですね。

さて、検査は非常に簡単です。
鋼鉄製の部屋の中には、ベットが置いてあり、その上部と下部に放射線を検知する機械が取り付けられています。この機械が約20分をかけて上下し、膝から頭部までの放射線を計測します。緊急時の停止ボタンやカメラが設置され、検査の20分間に聴くことのできる音楽も用意されています。

検査が終わると、すぐ、スペクトルを見ながら結果について詳しい説明を受けました。

検査結果によれば、体内にある放射性カリウムは約6,000ベクレル/body。これは自然界に普通に存在する放射性物質であり、値としても平均値とのこと。
問題は放射性セシウムです。
セシウムは、セシウム137とセシウム134の合計で約240/bodyベクレル、との結果でした。
ブローゼさんは、結果をどう評価するか、という点について非常に慎重な人でしたが、この数字については、
「それほど大変な数字とは思わない」
とのことでした。そのうえで、

・セシウム134,137の検出値は福島第一原発事故由来のセシウムであること
・セシウム134,137の検出割合は、それぞれの半減期を反映したものになっていること
・内部被ばく線量としては、ドイツと日本を航空機で往復して被ばくする線量よりもずっと低い値であること
・ドイツの原発で働く労働者ならこうした数字は考えられないこと(内部被ばくはでない)
・ドイツ国内の野生のキノコを不用意に食べれば、ドイツでもセシウムによる内部被ばくが生じること

などの説明がありました。

ドイツで生活する市民であれば(原発労働者も含め)、僕のような福島市民が体内に持つセシウムによる内部被ばくは現在考えられないが、しかし、240ベクレル/body程度であれば、被ばく線量としては小さく、それほど心配するほどの値ではない、というところでしょうか。

ブローゼさんにいくつか質問してみました。

・18歳以上の大学生は、放射線の影響に関しては「子供」として扱うべきか、それとも「大人」として考えてよいのか?
→「大人」として考えて良いと思う
・内部被ばくを避ける方法は?
→この数字は、食物からというよりも、粉じんなど呼吸を通じて取り込まれたものではないか。マスクが有効だとは思えない

とのことでした。

正直なところ、結果については、「ひとまず安心」、という気がしました。
昨年の3月14日以降のほとんどを福島で過ごし、食べ物については、「気をつけているようで気をつけていない」、あるいは、「放射能を恐れながらも、福島の生産者のことを思えば…」、という中途半端な(というよりも、悩みの中でどうすればいいのかが分からないでいる)気持ちで食生活を送ってきました。また、昨年の夏以降はマスクもしていませんでした。その結果が240ベクレル/body。
この数字の解釈については、いろんな立場があるでしょうが、結果を知ったことによる安心感はありますね。

他方で、それでもやはり、ドイツの原発労働者ではありえないような数字、というブローゼさんの言葉には、憂鬱な気分になります。政府からも大学当局からも、大した防護策も準備されず、夏には電力の使用制限まであって窓を開けることが積極的に推奨されたりもしました。そういう政府や大学当局と、結果を聞いて得られた自分の安心感が、同じ立場のものであるはずがありません。

そうだとすれば、大した防護策も考えていないような政府や大学当局とは違う立場で、今後何ができるのか?何をしなければいけないのか…?
同僚とともに今後とも考え、行動していこうと思っています。


*放射線防護庁からもらった検査結果のプロトコルが、帰国後見当たらなくなっています。見つかり次第、検査機器などが記載された正式のプロトコルを、また改めて掲載したいと思います。
スポンサーサイト