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ガンバロウ福大!行政の「結」

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震に端を発する東日本大震災をきっかけに、福島大学行政政策学類の教員有志でブログを開始しました。福大行政に関わる情報共有・情報発信の場として、このブログが、読者のみなさんとわたしたちの、また、みなさん同士の結節点になれば嬉しいなと考えています。一緒に手を携えて、この難局を乗り切っていきましょう。     (2012年3月26日記)

会津のかーちゃん(百姓ハウス)訪問記

夜の震災対策室から、ひろやすです。

ブログでもお伝えしたように、「かーちゃんの力・プロジェクト」の第一弾「餅プロジェクト」は大成功に終わり、また、イベントをやってほしい、第二弾は何をやるの?、なんて声がきこえてきます。
キッチンカー、お弁当づくり、週末レストランなど、アイディアはいくつも浮かびますが、保健所の許可、施設設備の整備、資金の調達など、クリアしなければならない課題がたくさんあります。かーちゃんたちの研修もその一つです。

先日は、盛岡から講師の方を招いて六次産業化についての学習会を行いましたが、今度は、お弁当づくりについて学ぶことになりました。
仮設住宅の一人暮らしの高齢者の方は、食事の栄養バランスが崩れてしまっているとのこと。健康維持の観点からも、お弁当やお惣菜の提供が求められています。

ところで、お弁当づくりはどこで研修できるのかしら?

ぴたが、ぴたと、いや、はたと思いついたのは、会津坂下町(あいづばんげまち、「あいづさかした」ではありませんよ!)の百姓ハウスのかーちゃんたち。会津坂下町は、行政政策学類が20周年記念酒「結」を仕込んでもらった曙酒造や、「飛露喜」で有名な廣木酒造などがある、酒呑み垂涎の地。そうそう、「さくら肉」でも有名でしたね。学生・教員も、演習や実習で何度も訪れているおなじみの町です。

これまでにも、ぴたは、ぶどう収穫祭などで、百姓ハウスのお弁当を取り寄せたことがあり、研修をお願いすることを思いついたようです。でも、一抹の不安が・・・。かーちゃんたちに、大学で講義をしてもらおうと交渉したことが何回もあったのですが、恥ずかしがり屋のかーちゃんたちに、そのたびに断られ続けていたのです。今度こそと、ぴたは意を決して電話をかけて、「かーちゃんの力・プロジェクト」のことを一生懸命説明しました。その誠意が伝わったのか、今回は、すんなりOK。さすが、かーちゃんの力ですね(いや、ぴたも頑張りました)。

2月に実施する研修の打合のため、21日(土)、ぴたとひろやすは二人で、百姓ハウスへと向かいました。

11時過ぎに公用車で大学を出発。福島もあいにくの雪。会津ではどれだけ雪が降っているのだろうと、先が思いやられます。でも、この日は、関東地方や太平洋側で雪が降っていたようで、車は東北自動車道、磐越自動車道を順調に進みます。会津盆地を抜け、七折峠をくぐると、奥会津への入り口、会津坂下ICです。ICから国道49号線を会津若松方面に1分ほど戻ると右手にお店が見えてきました。予定通り13時の到着です。

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<公用車も雪に埋まっています>

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<会津坂下ICで降ります>

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<大きな看板がお出迎え>

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<てづくりの駅の表示も出ています>

「立川ごんぼ漬」の大きな看板が出迎えます。「お茶のんでがんしょ!」という会津弁に誘われるように、店内に入ると、お腹すいたでしょうと、まずは、事前に頼んでおいたお弁当を勧められました。今日はどんなかな、期待を膨らませながら、ふたをとると、
おこわ、野菜の煮物、魚の煮つけ、立川ごぼうのキンピラなど、盛り沢山。どれもやさしい「おふくろの味」です。タクワン漬けもおいしかったです。ご馳走さまでした!

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<この日のお弁当500円也、お得です!>

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<11月に食べたお弁当、これも500円也>

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<割烹着を着たかーちゃんがトレードマークです>

食後は、お茶を啜りながら、震災の影響について訊いてみました。
会津坂下町は、地震による直接的な被害はなかったようですが、風評被害で訪れる観光客は大きく減少してしまいました。
震災後は、以前に報告したように(→コチラ)、葛尾村の方が会津坂下町で避難生活を送っていたため、3ヶ月くらいの間、数十食の食事をつくって提供していたそうです。百姓ハウスでは、何が食べたいかを聞いて、3種類くらいのおかずをつくって体育館まで持っていき、バイキング形式で食べてもらったとのこと。スイトン、ウドン、カレーしか出されなかった避難所もあったそうですから、それと比べると雲泥の差。なにかあったら、百姓ハウスの近くに避難したいですね(笑)。
また、先日は、大熊町の方が避難生活をしている会津若松市の仮設住宅に出かけて、餅つきを手伝ってきたとのこと。かーちゃんたちは、どこでも大活躍です。

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<円卓を囲んで 上には食べ物がいっぱい!>

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<右が代表の古口陽子さん、左が二瓶武子さん。山内歌子さんと3人で切り盛りしています>

研修の相談をする中で、百姓ハウスの由来や現在の活動についても訊いてみました。
百姓ハウスが誕生したのは2004年3月。郷土の食材を活かし、守り、伝承することを目的に活動している「ふるさとの味再発見グル―プ」のメンバーでしたが、町に新しい加工所をつくるという話が持ち上がり、説明会に行ってみたらあまりの人の多さに断念。3人の仲間がお正月に集まり、お酒を飲んだ勢いで、それでは自分たちで加工所をつくろうと決めてしまいました。福島県農業総合センター農業短期大学校(矢吹町)で研修を受けたり、葛尾村の「ふるさとのおふくろフーズ」の加工所を見学に行ったりしながら、準備をすすめました。スーパーだった建物を改装し(もともとは、大家さんは酒造会社だったそうで、円卓は仕込み樽を再利用しています)、家庭用の電化製品を取りそろえて、3ヶ月後にはオープン。酒の、いや、かーちゃんたちの勢いはすごい!

最初のうちは、試行錯誤の連続。昨日は500円売れた、今日は3000円売れた、とその日暮らしの状況で、お金が底をついてしまい、町内にパンの移動販売に行ったこともあるそうです。それでも、苦労したとか辛いと思ったことは一度もないとか。
現在は、お弁当や仕出しのほか、漬け物、パン、缶詰めなど、さまざまな農産物の加工・販売を手がけています。年間売上1千万円を目標にしてきましたが、1度達成したのでもう満足してしまい、無理に事業を拡大することはしないのだとか。

とはいえ、使う食材や商品開発にはこだわっています。ほとんどの食材は自分たちの畑でつくったり、知り合いの農家から仕入れたりして、新鮮な野菜を使っています。でも、加工するので、市場にはもっていけない規格外の野菜(たとえば、細いゴボウやスが入っているゴボウなど)も有効利用。農家の方からも喜ばれています。

また、伝統的な食材を活かした商品開発にも積極的に取り組んでいます。たとえば、会津伝統野菜の一つ「立川ごぼう」。
「会津伝統野菜」については→コチラ
会津坂下町立川地区で、砂地の土壌を活かして作り続けてきたこのごぼう。普通のごぼうより香りが高く、味が濃いのが特徴で、長さは1m前後にもなります。


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<かーちゃんたちが小さい? いえ、ごぼうが長いんです!>

そのごぼうも、かーちゃんたちの手にかかれば、クッキー、混ぜご飯のもと、漬物などに大変身。2006年度には「ごんぼクッキー」、2007年度には「まぜらんしょ」が農産物加工品コンクールの最優秀賞を受賞しています。でも、その裏には並々ならぬ努力が。お店に来たお客さんから話を聴いたり、どこかに食べに行ったりしたときには、そこから何かを盗んで、自分たちになりにアレンジを施します。コンクールの前夜まで納得のいく味を追求し、コンクールが終わった次の日からは、もう翌年に向けての商品開発に取り組むとのこと。まるで高校球児のようです(笑)。

もちろん、かーちゃんたちだけの力で商品開発ができるわけではありません。商工会青年部からアイディアの持ち込みがあったり、逆に、ごぼうの芯を抜く器具をつくってもらったり。会津農林高校(会農)の生徒さんとは、毎月、「14日市」で、一緒に農産物を販売するなど、お互いさまの関係が、かーちゃんたちを支えています。「まわりには頼りになる子分やツバメがたくさんいる」と古口さんと二瓶さん。参りました!

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<「ごんぼクッキー」味だけではなくネーミングやパッケージにもこだわります>

お弁当や仕出しは、只見町や会津若松市など、あちこちから注文が入ります。冠婚葬祭、バレーボール大会、町内会などさまざまですが、最大で200食までは対応できるとか。赤飯の場合は朝3時から、弁当は6時頃からつくりはじめます。煮物は夜のうちにつくっておくなど、段取りが重要だということでした。
もともと、郷土料理を伝えていきたいという思いから起業しただけに、こだわりの料理です。他の業者の仕出しは、お葬式のときでも、トリの唐揚げやエビチリが入っていることがあるそうですが、ごぼうや、饅頭のテンプラ、ゼンマイの煮付けなどを入れ、赤色のニンジンも入れません。「私たちのお弁当はいろどりが悪くて地味だ」と謙遜しながらも、「弁当ガラを持って帰ってくると、食べ残しはほとんどない」と胸をはる古口さん。やはり、本物だからこそ支持されているんですね。

3時をまわってそろそろお暇しようと思っていたら、大家の五十嵐さん(町会議員)がやってきました。屋根に積もった雪をトラクターで引きずり降ろすというので、ぴたと見学していくことにしました。

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<かーちゃんたちも出てきました>

会津坂下町では、400年続くという「奇祭 大俵引き」が、1月第二土曜日に行われます。東方と西方に分かれて大俵を引き合い、東方が勝つと米の値段が上がり、西方が勝つと豊作になるとされています。今年は東方の勝利でした。詳しくは、コチラ

こちらは、屋根雪とトラクターの綱引きです。
結果は・・・トラクターのキャタピラが空転して、雪の勝ち!

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<屋根雪とトラクターの綱引き>

あぶくまのかーちゃんたちの研修は、2月17日に決まりました。きっと実りある研修と交流になることでしょう。会津のかーちゃん、よろしくお願いします。

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